Page 102


CARRIE / Secrets / 1985

女性ボーカルを擁するドイツ5人組。プロデューサーはRalph HubertとAxel Thubeauvilleの重鎮コンビだ。Axel Thubeauvilleといえば STEELER、BRAINFEVER、LIVING DEATHといった多くのジャーマンメタルの作品をプロデュースし、Mausoleum Recordsでも仕事をこなしてShark Recordsを設立した人物。というわけでプロデュースの勝利と、バンドのセンスのよい音作りによって、この時代の他の力強いジャーマンメタルに比べてもひけをとらない作品に仕上がっている。特に正統派なノリが前面に押し出されているギターのリフがカッコいい。掘り出し物の一枚、見つけ次第、即確保だ。
クサレポイント

ローズマリー・バトラーを想起させるボーカルは聞きごたえがあり、実に巧い人だと思う。それなのに本作のみでバンドが散ってしまったのは実に惜しい。



DARK STAR / S.T. / 1981

"Lady Of Mars"といえばこのバンドの代表曲であり、UFOの"Doctor Doctor"に似てる(というよりは3連にウェットなメロディを乗せるとたいてい似てしまうのだが)ということばかり話題になるが、1曲目の"Kaptain Amerika"(綴りをあえて間違えているのがクールだ)みたいに、NWOBHMのバンドのたいていがそうであったように、コーラスをキメながらも少しブギーな部分を見せるのが彼らの魅力であった。2ndアルバムの前兆となるようなアメリカナイズされたメロディも、注意して聞けば気が付くだろう。
クサレポイント

「暗黒の星屑」という、狙いのよく分からない邦題を頂戴して日本盤もリリースされたが、残念ながらこのころはみんなIRON MAIDENに夢中だった(^^ゞ。数年のちに2ndアルバムで心地よい裏切りを見せてくれたのはPage52でも紹介したとおりだ。



KINGDOM / Lost In The City / 1988

個人的にも敬愛するギタリストである元EPITAPHのCfiff JacksonとBernie Kolbeが興したバンド。EUROPEの"Final Countdown"を思わせる壮大なキーボードが印象的だったタイトル曲で当時話題になったが、実はEPITAPHのCliff Jackson氏をさんざん追いかけていたのにこのバンドが結成されていたのは知らなかった、という思い出がある。裏ジャケのCliffの写真には感激したもんだ。タイトル曲は少々コマーシャルだが、他の曲にはところどころEPITAPH後期のニオイがする作品だ。

クサレポイント

実は本作リリース後に彼らはバンド名を"DOMAIN"に変更し、本作も改名後の名前で再リリースした。理由は当時話題になっていたLenny Wolfのバンド、KINGDOME COMEと混同されるから、であった。で、再リリース盤のジャケは こう なった。KINGDOMの方が秀逸であることは言うまでもない。



STORMWIND / Taken By Storm / 1984

北欧メタルのようなバンド名だが、パワフルなジャーマンメタルだ。ヒステリックなボーカルとギターのリフがJUDAS PRIEST型の一直線なメタルによく似合っている。ツーバスでない曲でもメタルバカ一代な気分になれるのが魅力だが、やはり"Breaker"みたいな曲がお約束のスピードチューンで爽快。

クサレポイント

ギターのWolla Bohmはこの後あのDARXONに加入してACCEPTのJorg Fischerプロデュース作である"No Thrills"アルバムを残し、1990年にはU.D.O.にAndy Susemihlの後釜として加入して"Faceless World"アルバムに関わった。



STORMWIND / Warbringer / 1985

3曲収録の12インチシングル。サウンドはやや良くなっている気がするが、クセのあるボーカルやツインリードのコンビネーションにデビューLP同様の正統派メタルなパワーを感じる。このテのメタルにはヒネリなど必要ない、の良い見本だ。スペシャルサンクスにUdo Dirkschneider、Jorg Fischer、DARXON、WARLOCKなどなど、今後自分達に大いに関係する人たちの名前がズラリ。

クサレポイント

もう一人のギタリスト、Niko Arvanitisは"True As Steel"以降のWARLOCKのメンバーとなり、後々のジャーマンメタルのアーティストに影響を与えた。