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CRYSTAL PRIDE / S.T. / 1985

懐かしいレコードだ。ジャケットから受ける印象は強烈だが、中身はメロディアスで聞きやすいハードロック。Susanne嬢のカン高いボーカルは少し耳に痛い。日本盤はオリジナル盤より2曲(NWOBHMタイプで聞き応えのある"Magic Man"とSHOCKING BLUEのけだるいカバー曲"Venus")多く、デカいポスターまで付いているいというお買い得なものだった。シングルヒットだった"Knocked Out"はキーボードのメロディがいかにも北欧らしくてよろしい。
クサレポイント

1981年にデビューし翌年リリースした 自主製作のシングル 盤"Sharon"はいまだ初期北欧メタルの枯れた味わいが漂う名曲として誉れ高い存在なのだ。しかし ラベルのデザイン はなんとかならないだろうか(笑)。



PROUD / Fire Breaks The Down / 1984

もともとはSAVAGEやLOUD & PROUDと名乗っていたバンド。いまでもその流れが続く「クラシカルな様式美の北欧メタル」という音では元祖の部類に入るバンドだろう。全ての曲がSILVER MOUNTAINの手法に似た曲の展開は強烈だ。メロディライン上でツインリード構成のギターが主導なのはこうも気持ちよいものなのか。このまま続けて行って欲しかったバンドの筆頭だったのにさほど巧くないボーカルの脱退を機にあえなく解散。残念無念・・・。
クサレポイント

オープニングの"Star Fighter"は当時聞きまくってましたなぁ。ほかの曲も哀愁味あふれるメロがタレ流されている。レコーディングにお金がかかっていない為に音が悪い云々と言われていたけど、十分イイ音だと思うのだが。



SORTILEGE / Metamorphosis / 1984

フランスのIRON MAIDENといわれた彼ら、アマチュア時代にIRON MAIDENのカバーばかりしてたそうだから、オリジナルがそうなるのも必至だったろう。もともとはフランス語でリリースしたアルバムをご丁寧に英語で吹き込みなおし再リリース。こうして日本でもリリースされる運びとなった。各曲ともストレートななかにもヒネりがあり、聞き手を飽きさせない努力は素晴らしいがフランスのバンドってどうしてみんなこんなにカン高い声質なのだろうか。

クサレポイント

しかし入魂の一作であることを吹き飛ばす勢いのあるこのジャケット。インパクトは十分で、いまだに遠めに見てもこの作品と分かるのだ。



HEAVY LOAD / Death Or Glory / 1982

あっ、オビがついてなかった。もったいない、捨ててしまったみたいだ(笑)。双子のWahlguist兄弟によって興されたスウェーデンの重鎮バンド。1978年リリースの"Full Speed At High Level"アルバムが真の1stアルバムで、この"Death Or Glory"(邦題は「白夜伝説」)は2ndアルバムとなる。前作はヘヴィなブリティッシュロックのニオイをさせていたが本作でめでたくヘヴィメタル開眼。その宣言的メタルチューン"Heavy Metal Angels"で最初から悶絶。名曲"Trespasser"はオリジナル盤にはオマケシングル盤として収録されていた。

クサレポイント

彼らの魅力はなんといっても強引な曲展開と切り込むように入るギターソロ、そしていい具合にオンチなリードとコーラスのボーカル。この音程のはずれ具合が実に微妙でこの声こそHEAVY LOADと認識できるものだ。こういう琴線のくすぐられ方もあるのだ(笑)。



HEAVY LOAD / Stronger Than Evil / 1984

実は私が初めてHEAVY LOADを聞いたのは本作なのであるが、これはもう聞いた瞬間に足の裏までトリ肌になってしまった作品だ。自分の中に脈々とながれるクサいメタルへの憧れの血が沸騰してしまったのだ。様式美一辺倒の北欧メタルとは違う、でもブリティッシュメタルとも明らかに違う何かをこのバンドは持っている。何度聞いても出だしが「ヒゲソリパワー!」にしか聞こえないオープニング"Run With The Devil"、ラストのバイキング音階が涙と笑いをさそう"Singing Sword"、エンディングの息のあまりの長さに失笑必至の"Saturday Night"、THIN LIZZYのPhil Lynottが飛び入り参加したら名曲になってしまった"Free"、その他も捨て曲、ムダの類は全くない、神棚に飾るべき作品。

クサレポイント

前述のように彼らのボーカルのはずし方は天才的だ。きっと音はあってるんだけどそう聞こえない、そう聞かせない音。それがオリジナリティである強みをいやというほど感じるのだ。イヤミじゃなくてこれは大好きなオンチだ。