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TREDEGAR / S.T. / 1986

ブリティッシュハードロックの持つ独特の憂いある湿り気と重さを兼ね備えたメロディを聞かせるバンドであるBUDGIEはいつの時代も私のお気に入りバンドなのであるが、彼らの音を追いかけると必ずこのTREDEGARに出くわす。
CLOVEN HOOFよりもこのバンドの方がBUDGIEの直系であり、CLOVEN HOOFには彼ら独特の世界があったのに比べて、BUDGIEのオリジナルメンバーだったギターとドラムスによって1982年に結成され、数度のメンバーチェンジを経てリリースした唯一のアルバムとなる本作を持つTREDEGARにはBurke Shelleyの声がなくてもBUDGIEの姿が見え隠れしている。
オープニングの"Duma"はシングルカットなのにテンションが低い曲でどうしてこれをウリにしたのかいまだに不思議なのだが、それ以降、特に"Way Of Warrior"や"Battle Of Bosworth"などは、ギターにしてもドラムスにしてもブリティッシュハードロックのお手本のような熱い緊張感に包まれたメロディがテンコ盛りで、"Duma"を除く7曲全部オススメだ。
プレス数が少なかったせいだろうか、リリース直後にはプレミアをつけた不思議なアルバムだった。メロディをタレ流していたギターのTony Bourgeは、当時のB!誌に「オッサン」扱いでレビューされていたが、いや この写真 じゃいたしかたないか(^^ゞ たしかに「ハァッ!」とでも小声で叫んでそうなお姿ですなぁ、ハァッ!。
クサレポイント

その後Tony Bourgeは脱退し、ドラムスのRay Phillipsがバンドを継続させていった。彼は本作に関連して1993年にファンクラブリリースの名の下にデモ音源を CD化 したものをEPスリーブサイズで発売、さらに1994年にはアルバムを丸々リミックス(ドラムスがゴージャス&クリアになり、ギターがひっこんだ音処理。これはかなり不満!)した音源と新録した音源とをあわせた CD をリリースしている。



BRITTON / Rock Hard / 1988

ギターとボーカルの伸びやかな疾走感あるメロディが持ち味のアメリカンメロディックハード。その二人のギターがなかなか頑張って弾きまくっているのが嬉しい。アコースティックな音を随所に取り入れて、押しと引きの部分のコントラストが絶妙に強弱つけられている楽曲構成はニクい。
クサレポイント

いやぁ、このアルバム中の"Living On The Red Line"には思い出がありますなぁ。数年前、「TV番組「プロ野球珍プレー好プレー」の中の好プレーのBGMに流れていた曲を教えて〜」というメッセージとともに音源をメールで送ってきた方があって(^^ゞ、それを聞くと、みのもんたの「いいねぇ〜立浪ぃ〜」のナレーションのバックで流れていたのがこの曲なのでした。でも当時アルバムを持っていなくて確信がなかったもので、バンドメンバーと直接に親交をお持ちで、LAメタルを語らせれば右に出る人がいないとよとよさんにこの音源を聞いてもらって太鼓判をいただいたのでした。Thanks! 



IRONCROSS / Too Hot To Rock / 1986

バンドの歴史は1976年から始まっているからけっこうなベテランバンド。フィンランドで活動を続けたバンドで初期にはとてつもなく北欧クサいメロディを持つデモ音源を連発していたはずだが、本作ではLAメタルの影響でこんなルックスになってしまったのと同時に、音もキラキラとしたメロディアスハードに仕上がった。とはいえヨーロッパ大陸のバンドが完全にアメリカンハードになり切れるはずもなく、ところどころに北欧メタルを感じるアルバムでもある。"Bloodhunter"の煮え切らないツーバスはもう一押しのパワーが欲しかったところだ。

クサレポイント

カッコはLAメタル風に出来ても、 はえぎわは少し辛い かも(^^ゞ そばで見るとトシくってるのがよくわかります。



UNDERDOG / Out In The Night / 1988

Mausoleum Recordsに"Rabbies In Town"という名作を残したバンド。 DIO時代のRAINBOWがストレートなハードロックとメタルだけ演りました、というような仕上がりだったものだから、当時の愛聴盤であったのだ。そんなバンドの1988年の作品が本作。Mausoleum Records時代に比べてメロディックハードに変身しているし、中にはさらに裏切ってくれてる曲がちらほら。なんといってもハモンドオルガン一辺倒だったキーボードはシンセサイザーっぽくなっているし、女性コーラスは飛び出てくるしアルトサックスまで取り入れたりしてる。進化といってもこのへんはちょっと辛かった。

クサレポイント

とはいえバンドの看板であるギタープレイとボーカルにはUNDERDOG節が健在。このMike Linsterってボーカルはホントに巧い人なんだけど今はどうしてるんだろうか。



METAL VIRGINS / Animal People / 1984

スラッシュ・メタル・レコーズからリリースされたメタル・ヴァージンズの「アニマル・ピープル」アルバム・・・なんて声に出していえないくらい、名前と音とがぴったんこな作品。いや、スラッシュというか、根っこはパンクスになるだろう。パンクスによるVENOMの勝手解釈版という感じだ。ドラムスはロクにリズムをキープをできないくせに早いビートを叩こうとする、ボーカルはコントに使えそうなひどいオンチ(この場合は人を不愉快にさせるオンチです(^^ゞ)、ギターはソロなのかバッキングなのかはっきりしない我が道一直線。そんな3人がいっせいに音を出すとどんなことになるか・・・。

クサレポイント

歌詞はもう何を叫んでいるのか分からないが、節々に"F**k!"連発なのは聞き取れる。 ここまで読んでもらって今さら何なのだが、実は文字にしてレビューする価値はほとんどないかもしれない(^^ゞ