Page 108


EXCITER / Long Live The Loud / 1985

カナダの大音量トリオがロンドンでレコーディングした3rdアルバム。何と言ってもリードボーカル兼ドラムスであるDan Beehlerのプレイが強烈である。単に速く叩くだけじゃ単なるスラッシュなんだけど、彼の踏むツーバスは単に速いだけじゃない速さがあり、ボーカルスタイルも単に絶叫するだけじゃない絶叫の凄みがある。表現が難しいけど、これにハマると抜け出すのはもっと難しい。オープニングの導入イントロから続くタイトルチューンへの流れはEXCITER随一の鳥肌メタル。個人的に彼らの作品の中では一番のお気に入り。
クサレポイント

バンドはファンに対して「アルバム3枚リリース後に解散もしくは活動停止」を示唆していたのが当時かなり印象的でショックだった。けれどもよくある話で、結局は解散もなくアルバムも製作し続けられたが、おかげでバンドも聞き手もテンションが急激にダウンしてしまったのが残念だった。



STORMWITCH / Magyarorszagon (Live in Budapest) / 1989

STORMWITCHといえばドイツが世界に誇るクサレメタルの代表格なのだが、初期にはその権化であったアルバムを残しながらも後々は不似合いにメロディアスなハードロックへと変化していった人たちでもある。本作はその変化の真っ只中にある1988年のハンガリーツアーからの音源を集めたライヴアルバム。ドイツとハンガリーのみの僅少リリースであったため長らくメタル界のレアアイテムでもあった。最近CDで復刻されているみたいで、えらい世の中になったもんだ。大名曲"Walpuurgis Night"をラストに収録。ニクいねぇ!
クサレポイント

彼らはこんなにハンガリーで人気があったのかと思わずにおれないくらい、お客が歌いまくっている・・・が、実はオーバーダブを重ねた擬似ライヴらしいという噂があって、よくわからない作品だ。



MERCY / S.T. / 1984

BLACK SABBATH風のリフを持つ"Heavy Metal Warriors"というステキなタイトルの曲でアルバムの幕を明けるが、思ったほどドゥーミーでもなく、どちらかといえばミドルテンポのJUDAS PRIEST風といった曲が続く。ギターとベースのトーンの輪郭がはっきりしていてメロディが前面に出ているのもこのアルバムが聞きやすい理由になっている。

クサレポイント

リードボーカルのEddy Markulinは本作ではソツなくその歌声を聞かせているが、MERCY脱退後はMessiah Marcolinに改名しMEMENTO MORIやCANDLEMASSに加入してかなり貫禄ある人になるのだ。



LEVITICUS / The Strongest Power / 1985

スウェーデンのバンドだが、いわゆる北欧メタル丸出しのクサクサメロディではなく、むさ苦しく男くさいボーカルに似合うブリティッシュロックのフレーバーを漂わせている。本作は2ndアルバムだが演奏の水準が高く、若々しさの中にもベテランバンドの作品を聞いているような安心感を与えてくれる。特にリフにしてもソロにしてもギターのメロディが秀逸。

クサレポイント

左のジャケットは翌年にアメリカのPure Metal Recordsでリリースされたときに使われたものでオリジナルとは異なる。復活していまでも活動中だが、時の流れを感じずにはおれないお姿になっておられるのだ。



TOKYO BLADE / S.T. / 1983

今も昔も「トーキョー・ブレイド」とカタカナで書かれると情けないバンド名になってしまうバンド。しかしながら後の"Night Of The Blade"の中の一曲、"Lightning Strikes"でついに日本人のハートを掴んでブレイクすることになる彼らのデビューアルバムが本作だ。新興のPowerstation Recordsのカタログナンバー1番をゲットしてのリリースながら凄いジャケットになってしまった(笑)。ここで聞くことのできる音はNWOBHM以外の何ものでもない。狭苦しく暑苦しい音、リフとリードをひたすら弾きまくる2本のギター、聞き手をかろうじて立ち去らせないところにとどまっているボーカル。しかしそれらが一体となったときのパワーは素晴らしいのだ。音質ではなくパワーの中に潜むメロディに酔える人のみ聞いてほしい。シングルカットにもなった"If Heaven Is Hell"を始めとしてすべての曲がオススメ。ラストの隠し曲がシャレてる。

クサレポイント

ボーカルのAlan Marshは次作を吹き込んだものの脱退。後釜のVic Wrightがすべて歌いなおしてリリースしたのが"Night Of The Blade"アルバムであり、彼のカン高い声がTOKYO BLADEの声ということでお馴染みになってしまった。後にオクラ音源としてAlan Marshの"Night Of The Blade"も"The Night Before..."とタイトルを変えてリリースされている。