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BRUZER / Round 1 / 1982

Vinniy AppiceがBLACK SABBATHを脱退しDIOに加入するまでの間に参加していたグループで、ハモンドを聞かせるキーボードもこの後GAMMAに参加している。もともとは元STRIKERの天才ギタリスト、Rick Ramirezが結成したバンドとして当時話題になったバンドだ。Rik Emmettをワイルドにしたような声質のボーカルと、ハードな面とメロディックな面をうまく融和させたメロディのお陰で、どの曲もTRIUMPHっぽい印象を受け、聴きやすいアルバムだ。Vinnyのドラムスも太い音が出ているが、Rick Ramirezの職人気質なギターがこのアルバムで一番光っている。
クサレポイント

曲によってサックスが入るのはちょっと辛いかなと思ったけど、耳になじめばそうでもないから不思議。てなことでAORハードみたいな曲もある。



REALM / Endless War / 1988

こりゃもう堂々としたスラッシュだが、意外とテクニカルで、聞かせる部分もある。ボーカルが巧くアグレッシヴに歌いこなしているのがまず合格。Steve Harrisをお手本にしているようなヘヴィなベースと弾きまくりギターとがユニゾンで突っ走っているのもよろしい。これで基本がドカスカスラッシュじゃなかったらかなりの正統派メタルになっているかも。ということで当時は「プログレッシヴ・スラッシュメタル」なんていう表現をされていたように思う。確かに単なるスラッシュメタルじゃない。
クサレポイント

BEATLESの"Eleanor Rigby"のカバーがあるが、これをスラッシュのノリで演ってしまおうというアイデアと単なるスラッシュバージョンで終わらせないテクニックぶりには脱帽だ。一聴の価値あり!



TRANCE / Power Infusion / 1983

ジャーマンメタルを語るときには本作についても語らなければその話は不足したものになってしまうだろう。この独特のクサいメロディとクサいボーカルの声こそが彼らの魅力でありジャーマンメタルの魅力でもあるのだ。真のメタラーならオープニングの"Heavy Metal Queen"のイントロでもう失禁するはずだ。ドイツのSILVER MOUNTAINと言っても過言ではないくらい、パワフルであると同時にメロディアスであり、それらはプロダクションの悪さも吹き飛ばしている。捨て曲などあろうはずがない本作と次作"Victory"は、聴きすぎて擦り切れても良いように各2枚ずつ購入すること、レコードで!

クサレポイント

Lothar Antoniのボーカルを最初に聞いたときのインパクトは凄かった。この人は巧いのかヘタなのか!? ノドの奥にニワトリを飼っているかのような声質は他に例えようがない。最近は少しパワーダウンしたが、再度バンド名をTRANCE MISSIONに改め活動中。



RUNESTAFF / S.T. / 1985

色違いながらあの魔女卵のような雰囲気のジャケで、イギリスのHeavy Metal Recordsからのリリースであるのでかなりの期待をして聴いてみると驚いたことに女性ボーカルのプログレッシヴ・ポップな音作り。なんて爽やかな期待はずれなんだ(笑)。とはいえ英国特産の湿り気あるメロディはしっかり聞かせてくれる。イギリスのバンドってそういう意味では期待をはずすことはないねぇ。ギターがけっこう頑張っていろんなフレーズを聞かせてくれている。

クサレポイント

Joanne嬢の声質は誰かに似ているなと思ったら、「汚れた英雄」のローズマリー・バトラーにそっくりだ。とはいえ、このテのボーカルはみんなそう聞こえてしまうのが自分の悩みでもあるのだ^^;



BULLDOZER / The day Of Wrath / 1985

Page37でも紹介したイタリアのVenomと称されたブルドーザーのデビュー作。TANKのAlgy Wardがプロデュース!が一番のウリだった本作は見事日本でもリリース。デビュー作にしてVenom真っ青な大音量と共にわが道を突っ走るスタイルをここまでストレートに表現しているのが素晴らしい。もちろん好き嫌いのあるブラックメタルな音だけど、小ざかしいギミックなど一切なしのメタルであり評価に値する作品だ。Venomよりはドラムスが締まっている点で演奏レベルは上。ギターもMantasといい勝負だ。

クサレポイント

これ、当時のB!誌で「裏ジャケに載っているノーカットのエロ本が"見える"のだ!」のレビューに踊らされてレコード屋に走った奴を数十人知っているが、19年後に蔵出そうと買ってしまったヤツもいる(爆笑)。いやしかし、肝心の写真は小さすぎて見えないんだなぁこれが。