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ZERO NINE / Blank Verse / 1982

フィンランドのDEEP PURPLEといわれたZERO NINEの傑作。DEEP PURPLE云々はともかく、メロディアスでツボを押さえた彼らのメロディラインは耳障りよく、聴き終わってからの満足感が十分得られるアルバム。プロデュースは意識したのか偶然なのかIan Gillanが担当している。"I Don't Wanna See You So Dejected"のキーボードソロに"Highway Star"のフレーズが出てくるのがニンマリものだ。"Lady On The Shore"のようなメロディアスな曲が彼らの持ち味なのだ。
クサレポイント

中にはポップな曲もあったりして聴きやすく、メロディックな彼らの個性が伺える名作。「フィンランドのDEEP PURPLE」の宣伝文句にこだわらず聴いて欲しい。



ZEN ATTACK / S.T. / 1983

Steve WinwoodやDave Masonといった名プレイヤーが在籍した英国のスーパーグループ、TRAFFICのベーシストだったRosko Geeと、英国の名だたるバンドを渡り歩き、直前にはなんとあのGIRLの後期メンバーでもあったPete BonasとBryson Grahamとが結成したテクニック志向のハードロックバンド。その中身は濃く、ハードロックというジャンルに収まりきらない、ビートの効いた多彩なロックに取り組んでいる。ハードロックのアプローチを取りながらも型にはまらず彼ら独特の世界を展開しているのが実に個性的で他に例えようがない。機会があれば一度聴いてほしいアルバムだ。
クサレポイント

PeteとBrysonが元GIRLという経歴はさておき、もともとは3人ともプログレッシヴロックで名をはせた人たちで、そんな人たちが「今回はハードロックをやろうぜ」的なノリで出来たアルバムといった感じ。NWOBHMとはまた違うタイプの英国ハードロック。



FORMEL 1 / Live Im Stahlwerk / 1986

東ドイツのバンドで、とにかくクサいメロディを次々とタレ流すオヤジメタル。そのメロディのクサさは半端ではなく、一度聴くとあまりのクサさに失笑しながらも、それはすぐ鼻歌となって今度は自分の鼻からタレ流され、知らず知らず体全体に染み渡り、ついには本作なしでは生きていけない体になる自分に気がつく、というのは大げさな表現でもない。シングル盤アーティストであった彼らが残した唯一のアルバムがこのライヴアルバム。IRON MAIDENとJUDAS PRIESTのカバーを含む全10曲、そのカバー曲よりもオリジナル曲の方が数倍興味深い。ドイツ語の歌詞もこういうメロディであれば大正解だ。"Heavy Metal"というタイトルの曲もあるのが嬉しい。

クサレポイント

そのクサいメロディに煽られて一緒に歌う観客がこれまたクサい! 少々の音の悪さなど吹き飛ばすライヴアルバムの醍醐味でもあるのだ。レコードもよく見かけるし、復刻でCDもリリースされているので入手は簡単!



RAILWAY / S.T. / 1984

Haslinger兄弟が屋台骨となり1995年のPersecution Mania"アルバムまで活動を続けたバンドのデビュー作。彼らは当時「小型アクセプト」という、ありがたいのかそうでないのか分からない呼ばれ方をしていた。その事が自分にはなんだか不憫な気がしてならなかった。アクセプトに似てるという意味なんだろうが、いつまでも「小型」という言われ方をしていたのがその理由だ。初めて聴いたときはそんなにもACCEPTを想像させる音ではないと感じたのに。同郷のBULLETをもう少しへヴィにしたタテノリ系メタルだ。その典型の"Heavy Metal Fever"やユニークなメロディの"Take It Away"(これは昔のACCEPTっぽいな^^;)が印象的。

クサレポイント

次作以降「小型アクセプト」を返上すべくどんどんメロディアスになったものの、そのACCEPTがウドの脱退でコケてしまったのに合わせるかのように彼らも3作目以降パワーダウンし沈黙。90年代になって復活したもののやはり時代に迎合したメロディック路線に終始した。BEATLESの"Let It Be"をカバーしたのには驚いた。



V.A. / Lead Weight / 1981

Neat Records初のコンピアルバムで当時カセットで発売したものをレコード化しイタリアでリリースした作品。NWOBHMの熱い息吹がレコード盤の溝に隙間なく詰め込まれている。そこに針を落として飛び出してくる音の波をザバザバとかぶるたびに、メタル聴いててよかった〜と思うのだ。すべてのバントについて、このカッコよさは何なんだ!?のタメ息の嵐。Mick (Mike) Tucker在籍時のAXIS、FIST改名前のAXE名義の"S.S.Giro"、ほかにも貴重なスタジオテイクが目白押しで必携の一枚。収録は、
RAVEN Inquisitor
WHITE SPIRIT Cheetah
VENOM Angel Dust
AXE S.S.Giro
BLITZKRIEG Inferno
ARAGORN Noonday
FIST Throwing In The Towel
AXIS Messiah
BITCHES SIN Down The Road
WARRIOR Flying High
SATAN'S EMPIRE Soldiers Of War


クサレポイント

ということでNeat RecordsはNWOBHMの代名詞といってもいいくらい、所属アーティストが充実していた。結果として「伝説の」なんていう言葉が枕詞になっているバンドもあるが、当時は少しでも売れるようにと必死だったんですなぁ。好き好んで伝説になりたかったワケではないことが、 裏ジャケ に書かれた細かなインフォメーションなどを読んでもよく分かるのだ。