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SHOK PARIS / Steel And Starlight / 1987 オハイオ州出身のバンドの2ndアルバム。アメリカのバンドでありながらヨーロッパのバンドが放つニオイを持っていた点ではWARRIORやLEATHER WOLFといったバンドと並べても遜色ない痛快なツインリードを擁するメロディアスハード。最近のアメリカのハードロックシーンを思いつつ本作を聞くと、この時代まではアメリカ人はメロディアスな琴線を持っていたんだなぁということを改めて感じさせる。そして、メロディアスといいつつもパワーあふれるボーカルがこの作品を隠れた名作の仲間入りさせることに貢献しているのだ。イントロからギターソロの鉄則を貫く"Tokyo Rose"、Y&Tに負けず劣らず泣き泣きなギターを聞かせる"Castle Wall"は時代を超えた名曲。 クサレポイント 次作の"Concrete Killers"はめでたく日本でもリリースとなったが、メロディアスな部分がやや後退し、キメ手のないサウンドに終始してしまったのが残念。それでもツインリードの絶妙さは残っていたのに。バンドはその後解散したが最近になって復活、ライヴの予定もあるようだ。 |
LIXX / Loose On You / 1988 英国のバンドだが知らずに聞くとアメリカのご機嫌さんパーティロックかと思ってしまうだろう。白黒でキメたジャケットも音はパステルカラー。いま日本でも流行っているような、身をよじって声を出すビジュアルバンドのオカマみたいなボーカリストに似た声質にはそれだけで拒絶反応モノだが、それも15年も前の音なんだと思うと許せるかも^^; クサレポイント というわけで個人的には何の思い入れもなく、なぜ我が蔵にあったのだろうとそればかり考えさせられるアルバムではあるのだが、このテのグラムメタルを追いかけるマニアには受け入れられるだろう作品だ。 |
KICK AXE / Vices / 1984 オープニングの"Heavy Metal Shuffle"が邦題に使われたKICK AXEのデビュー作。1976年にはバンドの母体が出来上がっていたとのことで、デビューの時点でそこそこの活動歴を持つバンドだったようだが、彼らの音楽性がユニークなのは本作を聞けば分かる。ゴリゴリのメタルではなく、中途半端なメロディックでもない。カナディアンハードロックらしい琴線をくすぐるメロディを基本として、ブ厚いコーラス(というよりリードボーカルが5人いる、というノリだ。)や音処理の遊び具合など、この時期に活動していたハードロックのバンドでも類を見ないサウンドが最大の魅力だろう。カナダのバンドって、聞き手を裏切らない程度に実験的なサウンドを聞かせるバンドが多いから好きなのだ。当時のB!誌にも「ヘッドフォンで聞くと音が面白い」てなことが書かれていたが、そんな表面的なことでなく、音に込められた彼らの本質こそが面白いのだ。 クサレポイント てなことで日本でもリリースされたアルバムだが、このジャケはレコード屋さんの数あるレコードの中でも奇妙さで目立ってましたなぁ。コンセプトが分からない上に、聞いてみると他に例えようのないユニークさ。 |
KICK AXE / Welcome To The Club / 1985 まずタイトルとジャケットデザインに驚く作品であるが、やはり内容も前作路線ではなくなって、かなり聞きやすい、洗練されたハードロックになっている。メロディックハード、AORハードと言われるような音作りであり、彼らが目指した音楽がこれなら仕方ないのかな、といったところ。演奏テクは申し分なく、少々控えめになった奇抜なリズムも難なくキメているあたりは相変わらずすごい。 クサレポイント 本作のハイライトはBEATLESのカバーである"With A Little Help From My Friends"。彼らはJoe Cockerのテイクをカバーしているが、文字どおり友達の手助けを得るべくLee Aaron、Rik Emmet、そして私が密かに敬愛するSURRENDERのAlfie Zappacostaといった人たちのコーラス部隊をバックに演奏している。 |
KICK AXE / Rock The World / 1986 3rdアルバムはストレートなハードロックチューンで幕を開けるのだが、その宣言どおりこれまでの彼らの作風を知っている人にはかなり驚きの正統派ハードロックな作品となっている。しかもベースがBilly Seehanばりにブリブリと鳴りまくっているのが特筆もの。ベーシストはオリジナルメンバーな人だが、これまでがおとなしすぎたんだと言わんばかりに本作ではエフェクターを多用したりしてて、彼自身音作りにもかなり工夫を凝らしている。その上でバンドがハードロック路線を突き進むのだからこれは耳に心地よい。ツインリードだったギターは一人が脱退してしまったのが残念だが、残ったもう一人のギタリストが頑張っているのも聞きごたえ満点。ただし1stアルバムがお気に入りな人には彼ら独特の「音の遊び」が本作ではほとんどなくなっている点で評価しづらい作品だろうが、彼らの別の側面として捉えると決して悪い作品ではないし、ストレートなメロディックハードロックが好きな人にはベストアルバムになる作品だ。 クサレポイント そのベーシストのVictor Langenはホントにこんな Gene Simmonsみたいなベース を弾いていたのだろうか。まあそれはともかく、"We Still Remember"から"Great Escape"と続く流れはカナディアンハードロックの醍醐味だ。 |