Page 116


THRASHER / S.T. / 1985

THRASHERというのはバンド名ではなく、1985年当時にN.Y.周辺で活動していたミュージシャンにより製作されたアルバムのプロジェクト名だ。「スラッシャー」だけど内容はスラッシュというよりは正統派のメタルサウンド。参加ミュージシャンは、元TALASのBilly Sheehan、元VIRGIN STEELのJack Starr、元DUSTのKenny Aaronson、TKOのBrad Sinsel、HELSTARのJames Rivera、元RIOTのRhett Forrester、ANTHRAXのDan Spitz、EXCITERのDan Beehler、BLACK LACEのMaryann Scandiffioといった面々、それをとりまとめるのが東海岸のドン、RODSのCarl Canedy。しかしこの人を食ったようなバンド名といい、ラストのミドルテンポな"Never Say Die"ではメンバー全員でひたすら"Never Say Die〜"としか歌わないことといい、METALLICAやSLAYERといった、当時流行りの西海岸スラッシュメタルへの東海岸からのシャレの利いた挨拶か?と思って聴いたもんだ。
クサレポイント

圧巻は"Burning At The Speed Of Light"(全く関係ないけどRAVENを想起させるタイトルだ^^;)でのBilly Sheehanのベースプレイ。ベースギターというパートがこれまで人々に与えていた印象を根底から覆す、とにかく弾きまくるベース。私はこの作品で初めて彼のプレイを聞いたのだが、その時のショックは今でも忘れられない。今でも4弦ベースな彼はベース職人の称号が最も似合う人だろう。



STONEHENGE / Hold On / 1991

ほとんど自主制作なノリでリリースされたマイナーなドイツのバンド。軽いメロディに支配されたタイトルチューンは少し耳に残るがドイツくささはオンチなボーカルにのみ面影をとどめている。このボーカルがよく言えば枯れた味わいを漂わせているといえなくもないところがこのアルバムのハイライトだろう。メタル色は全くなく、泣きのギターを少しまぶしたアメリカンロック、といた感じだ。ブルースハープも取り入れた"Wonderworld"の泣かせ具合は拾い物度満点。
クサレポイント

バンド名に惹かれて買ってみたもののハードロック未満な音には少しがっかり。でもジャケットにメンバーのサインが。この中の誰か一人でもビッグネームになって欲しいものだ^^;



RUFFIANS / S.T. / 1985

サンフランシスコのバンドながらスケールの大きなヨーロッパ大陸型の正統派メタル。ズバリ全曲捨て曲なし!こういう音には理屈ぬきで諸手を上げてついて行くメタル魂が試されるアルバム。大音量で聴いて気持ちいい広がりのあるドラムスと弾きまくりのギターのコンビネーションが抜群で、このアルバムがいかに素晴らしいかを感じることだろう。ODIN、SAVAGE GRACE好きにはオススメ。6曲入りミニアルバムながら後に日本盤でもリリースされた。名バラード"You All I Need"で今は亡きCarl Albertを偲ぶ。

クサレポイント

Carl AlbertはこのバンドにとどまらずVILLAIN〜VICIOUS RUMOURSと渡り歩きそれぞれで作品を残した。RUFFIANSではメロディアスに歌い上げていた彼だが、後々ラフでワイルドに歌い上げるものに変化していったのは興味深いところだ。



Q5 / Steel The Light / 1984

ギターソロなどにアーム奏法を取り入れた時に生じるチューニングの狂いを解消するトレモロユニットシステム「フロイドローズ」トレモロを開発した、ハードロックのギタリストには神様のようなギタリストFloyd Roseが結成したバンド。自分の商品を売り込むべくとにかくアーム奏法を多用しまくっているのは爆笑ものだが、このアルバムが単に話題づくりに終わらなかったのはメロディや他のパートの力量がハンパでなく素晴らしかったからだ。1曲目の劇的な疾走感と2曲目の泣きのハードロックスピリットはこのころのアメリカンハードロックの中では随一。とにかくその2曲目"Lonely Lady"は知っておかなければならない大名曲。

クサレポイント

Evan SheeleyとRick Pierce、Gary Thompsonは元TKOのメンバーで、そこにFloyd Roseが加わったと考えればTKOの異形と考えても違和感がない。特にRick PierceとFloyd Roseとのツインリードはかなり強烈だ。



Q5 / When The Mirror Cracks / 1986

メンバーチェンジはなかったけど小ジャレたジャケットアートで嫌な予感は的中した。前作があんなにもギターハードロックなアルバムだったのに本作ではキーボードとシンセギター主体の後期FOREIGNERみたいなアメリカンAORハードロックになってしまった。一作品として捉えるなら何のアラもない作品だが、前作からの期待という点では「レコードを買い間違えたか?」ぐらいの変わりようだ。タイトルチューンに前作の影を残すのみ。

クサレポイント

少しオーバープロデュース気味な印象も与える本作はあまり話題にならず、バンドは消滅。Floyd Roseはギターテックの世界で活動中、残るメンバーもTKO絡みの仕事を続けているらしい。