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ZOSER MEZ / Vizier Of Wasteland / 1991

MERCYFUL FATEのギタリストだったHank ShermannとMichael Dennerのプロジェクト的なバンドの唯一の作品。1985年に音楽性の違いからMERCYFUL FATEを離れ、確かにまるっきり音楽性の違うハードポップなFATEを結成し活動を続けた後、結局FATEからも脱退してZOSER MEZを立ち上げたわけだが、この音がまたMERCYFUL FATEそのもののドゥーミーなノリだからこの二人はホント節操がない^^; A面はサタニックとはまたほんの少し味わいの違うカルトなノリで、正統派パワーメタルのコードをすべてマイナーに転調しましたという感じ。B面はもう少しストレートな正統派メタルの味わいで何故かDEEP PURPLEの"Fireball"の歌詞を取り入れた"Electizm"が面白い。いずれの曲もギターの音に彼らの色が良く出ていてMERCYFUL FATE度は高いのだ。
クサレポイント

結局は本作リリース後にZOSER MEZを聴いたKingからお声がかかり、MERCYFUL FATEはめでたく再結成され復活となったのだった。その復活第一弾となったのがIn The Shadowsアルバムだが、 木製の額縁をかたどったジャケットってZOSER MEZと同じアイデアじゃないか^^; 



WHITE SISTER / S.T. / 1984

当時のレンタルレコード店には必ず置いてあった彼らのデビュー作。キーボードが入った明るいメロディアスハード、と言ってしまえばそれまでだが、コーラスワークやメロディの湿り気などは日本人にも響く琴線を持っていた。プロデューサーがGregg Giuffriaなことでも分かるように、このバンドはTOTO、ANGEL人脈にほんの少しだけ関わっていて、本作と次作には、当時Dennis "Fregie" Frederiksen、Punky Meadows、Ricky Ray Phillips、Gregg Giuffriaというメンバーで活動を続けていた最終期のANGELのメンバーが書き下ろした曲を収録している。とはいえこれらの曲はパッとせず、当時FMでかかりまくっていた"Don't Say That You're Mine"、自国でウケのよかった"Can't Say No"などのストレートなメロディックロックの方が素晴らしい出来だと思う。
クサレポイント

このころは似たような名のバンドがあって、単語をあれこれ組み合わせるとたいてい実在するバンドになったので一度聴いたぐらいならその区別がつかなかったのだが、私の中ではこのバンドもその仲間なのだ。WHITEとかSISTERとかWOLFとかLIONなどなど・・・。ただ、本作はメタルというにはソフトな感じのするジャケットのおかげで「ああ、あのWHITE SISTERね」と覚えておくことが出来た。



WHITE SISTER / Fashion By Passion / 1986

キーボードが抜けて3人組となった後の2ndアルバムはこんなワケのわからないジャケットだったが内容はもっとワケがわからない。ヘルプのキーボードがいるので基本は前作路線ながらバカ明るくなり過ぎた印象がある。陳腐なBEATLESのカバー"Ticket To Ride"も評価ゼロ。ダンサブルなビートを主体とした当時の流行を追ってしまったタイトルトラックを聞くにいたって愕然とした思い出はもう遠い昔のことだ。80年代ANGELの書き下ろし曲と、心に染みるバラード"Save Me Tonight"がなければ暴れるところだった。

クサレポイント

この後バンドはTATOOED RODEOに改名し名前のとおりサザンロック傾向を強めて90年代に活動を続けた。



SOUND BARRIER / Speed Of Light / 1986

たしかLOUDNESSがアメリカでツアーしたときに同じクラブで演奏していたバンドである。Metal Blade Recordsからのリリースだが嬉しくなるぐらい音が悪い^^;。しか〜し、アメリカのバンドらしからぬ、あまりにクサったIRON MAIDEN的メロディは素晴らしい。ドコドコと畑を掘るかのようなツーバス、音数は多いながら鼻づまりで苦しんでいるかのようなベース、このモコモコしたリズム隊と、唐突に拍子抜けなメロディを切り込んでくるギターのコンビネーションは最高だ。"Gladiator"で発揮されている、アメリカ人が解釈する様式美系メロディに浸るとこのバンドから抜け出せなくなるだろう。THIN LIZZYの"Hollywood"をカバーしてるが完全に自分たちのモノにしている。実は本作、カセットテープはアナログよりも1曲多いという困ったことをしてくれているそうだ(笑)。

クサレポイント

実はソロを弾きまくる凄腕ベーシスト、Emil Lechはこの後JOSHUA〜DRIVERへ加入。彼は元ANGELのFrank DiminoのいたTERRIFというバンドにいた人だ。何だか人脈がややこしくなってきた^^;



DRIVE / Characters In Time / 1988

小ジャれたジャケットだが、中身は実に熱い正統派アメリカンメタル。とにかくハイトーン系のボーカルが巧い。スケールも大きく歌い上げていてこれは耳にかなり気持ちいいのだ。ギターもかなりカッコよく弾いてくれてて痒いところに手が届いている。「カマカァ〜ゼェ〜!」と叫んでいる"Kamikaze"が最高。OBSESSIONあたりお気に入りな人は是非。アナログよりも1曲多いCDはレアらしいが、カットアウトならけっこう転がっているようだ。

クサレポイント

メンバーには正式なドラマーがいるが、本作でドラムを叩いているのはなんとKISSのEric Singerだ。