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CITIES / Annihilation Absolute / 1986

かつてTWISTED SISTERのA.J.Peroが在籍していたこともあるニューヨークのアンダーグラウンドなバンドが、英国のマイナーレーベルMetal Mastersからリリースした6曲入りのミニアルバム。当時はOVERKILLよりもこっちの方がカッコ良いと思ってた。それは、正統派パワーメタル一直線を基調としながらも、作品全体から漂う、冷ややかでダークな雰囲気が見え隠れしているからだ。ギターソロのメロディやバッキングなどにそれがよく表れていて、当時のアメリカンメタルにもまだこういう骨のあるバンドがいたことを今に伝えることができる快作だ。"Not Alone In The Dark"のオープニングSEに使われた「ヘヴィ〜メロ〜ッ!」連発のMCにはゾクゾクさせられますなぁ。
クサレポイント

カタカナだと「シティーズ」になってしまうバンド名はもっとメタルメタルした名をつけるべきだったでしょう。ジャケットはこんなに ドラム戦車なのだから(笑)。



CITIES / Annihilation Absolute / 1986

前作リリース後にオリジナルドラマーのA.J.PeroがTWISTWED SISTERを脱退してこのバンドに出戻ってきた。ビッグネームになって戻ってきたんだからさっそくアルバムリリースを、というノリだったのかどうかは定かではないが、Metal Blade Recordsから9曲入りのフルレンスアルバムとしてリリースしたのは上記のミニアルバムの焼き直しプラス新曲3曲という内容だった。もともとメロディのツボを押さえたパワーメタルな曲だから仕上がりが悪いはずはなく、音質も向上していて聞きやすくなった。逆に言えば荒々しさが減退してハラハラするような強引な展開は影を潜めたとも言えるだろう。聞き手の裁量にもよるだろうけど、個人的には前作のほうが好きだなぁ。ちなみに「暗黒の戦い」の邦題で日本でもめでたくリリースされている。
クサレポイント

内容以上も焼き直しならジャケットも焼き直し。前作と並べると間違い探しが楽しめます。ドラムスが交代したから・・・おおっ、たしかに代わっている(笑)。 イェイ!見つかっちまったぜ!



HITT MAN / S.T. / 1988

ハイトーンボーカルにツインリードギターが絡む正統派メロディックパワーメタル。ベースの音数が多くブリブリと唸っているのもポイントが高い。各パートの能力は高く、もっとプログレッシヴな展開であっても十分表現できたであろう才能を感じることができる。ややインパクトに欠ける曲もあるが、ツインリードのメロディが印象的な"Metal Sport"と"Breakout"が特にオススメ。LEATHER WOLFあたりのバンドを愛する人は是非どうぞ。

クサレポイント

ボーカリストの発案らしいジャケットのコンセプトはよくわからないが、どうも世界中の都市を描いているらしい。ロンドン、パリ、ニューヨーク、東京・・・、 東京?



EXCALIBUR / The Bitter End / 1985

NWOBHM最終期に現れたバンド。高校生のころに結成され、すでにツアーにも出ていて、卒業後デビュー作となる6曲入りミニアルバムである本作をリリース。泣きのギターが随所に入る疾走系NWOBHMで、不器用までにバカ正直なハードロックを展開しているところは好感が持てる。こういう作品は聞き手も真っすぐな姿勢で聞かなければならない。英国の薫り高い湿り気を堪能できる"Only Time Can Tell"とNWOBHM特有のキメとタメをバジハシ決めてくれる"Come On And Rock"は名曲だ。

クサレポイント

1985年といえばNWOBHMの炎も消えたかと思われた時期だが、やはり英国のマイナーレーベルの音というのは1980年前後から変わっていなくて、モコモコしていることとドラムスのバタバタとした音とが涙を誘う。これこそマイナーメタルの醍醐味。若くしてデビューもうらやましい。ちなみに私、彼らと同じ年のようだ^^;



EXCALIBUR / One Strange Night / 1990

デビュー以降2枚のシングル盤をリリースした後にリリースした初のフルレンスアルバム。オシャレになってしまったジャケットに一瞬不安を覚えるが、針を落として一安心、プロダクションの向上で音はスッキリしているもののバカ正直なハードロックは健在だ。ファストナンバーが一転してミドルなテンポとなり、そこへギターソロが絡んできてツインリードとなってさらに展開する、といった聞き手のツボを刺激しまくる曲展開は実にニクい。

クサレポイント

本作リリースに前後してSAXONのツアーのヘッドライナーを務めるなど出世したバンドだったのに、本作リリース後にボーカリストが脱退し、バンドも空中分解してしまったようだ。正統派なハードロックには辛い時代だったかもしれないけど、次作も期待していたのにもったいないことだ。