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HEAVY PETTIN' / Lettin' Loose / 1983

いやぁ、多感な高校生の頃はこの名を聞いて「重々しいB・・・」なんていうのを想像しておりましたが^^;今でもそうです(笑)。意味はともかく、バンド名は「ペッティング」じゃなくて「ペッティン」なんですわ、これが(笑)。なんでもUFOの名作"No Heavy Pettin'"に由来するそうな。
Neat Recordsでシングル盤をリリースしたあと、しばらくの間をおいて製作されたデビュー作が本作だが、当時はプロデューサーにあのBrian Mayを迎えたことばかり話題になってたような気がする。しかし内容はNWOBHM後期になって奇跡的に生まれた、疾走間あふれる優れたメロディックハードロックである。オープニングの"In And Out Of Love"はFMからもよく流れていた。"Victims Of The Night"もブリティッシュ・ハードロックの醍醐味が満載な曲だ。
クサレポイント

本作のアメリカ盤は ジャケ違い。収録曲を覚えているはずもなく、こんなことされれば知らずに買ってしまうのだ(涙)。



SAVAGE / Hyperactive / 1985

1983年にあれだけの荒くれメタルを聞かせてくれたSAVAGEのセカンドアルバムはなんとメロディアスなハードロックが主体の作品となった。メンバーも変わっていないのにこの変貌は何なんだろう。1stアルバムがブレーキの壊れた戦車なら本作は中古のリムジン、ぐらいの差だ。老練な音作りも不満足だが何が腹立つって、音質向上のクリアな音は我慢ならない。かなりグッとくる哀メロも聞かせてくれるし、バンド名を知らずに聞くと評価もできるのだけど、あのSAVAGEが取り組むには甘すぎる。あのヒステリックさはどこにいっちゃったんだろう。
クサレポイント

歴史に残る快作"Loose'n' Lethal"やその後の彼らについてはEbony Recordsに記したとおりだが、本作の失敗でいったんバンドは解散してしまったのだ。



AVENGER / Blood Sports / 1984

NWOBHM屈指の名曲"Too Wild To Tame"の シングル盤を1983年にリリースしたAVENGERは、もともとは「NWOBHMの声」ことBrian Rossが在籍したバンド。このシングル盤の「声」も彼のものだったが、リリース直前に彼はこれまたNWOBHM屈指のバンドへと育つSATANへ加入するためバンドを去り、代わりにSATANのボーカルだったIan SwiftがAVENGERのボーカルに迎えられるという出来事があった。で一件落着後の1984年になってリリースされたフルレンスデビューアルバムが本作だ。リフがメロディを作り、メロディがリフを作っていた"Too Wild〜"よりはかなりおとなしい音になっているが、熱きNWOBHM魂は翳りを見せてはいない。シングル盤B面だった"On The Rocks"を再録、これがまたカッコよいのだ!

クサレポイント

私がBrian Rossひいきなので仕方ないが、Ian Swiftがこれまた屈指のボーカリストと知ってはいても、物足りなさを感じるのが正直なところ。それでも"Victims Of Force"あたりではBrianの声にやや似ていて魂を揺さぶられるのだ。



AVENGER / Killer Elite / 1985

ドラムのドカスカ音がデカくなっているのとベースのゴリゴリ感が強調されているため、かなり痛快なメタルになっている。メロディに乗っかって突っ走るNWOBHM魂は健在なので聞いていても安心して熱くなれるのがこのバンドの良いところだ。とはいえこのIanのAVENGERを聞けばいかに最初のシングル盤だったころと変わってきたかがわかるだろう。それはBrian Rossが歌えばBLITZKRIEGでもSATANでもAVENGERでもLONE WOLFでもみんな一緒に聞こえてしまうことの証明なのかもしれない。

クサレポイント

そして裏ジャケの有名な文句。 「ドイツのニセモノに注意!」てことですなぁ。



AVENGER / Prayers Of Steel / 1985

で、「ニセモノ」よばわりされてしまったのがこちらのドイツのAVENGER。たまたま同名だったからってニセモノはちょっと可哀相だ(笑)。このAVENGERはまぎれもなく当時のド根性ジャーマンメタルの音を吐き出している。単にニセモノ扱いするワケにはいかない音なのだ。ボーカルが不安定でフラつくのがこの時代のアジである。

クサレポイント

結局はバンド名をRAGEと変えて、もっとソリッドでアグレッシヴなサウンドに切り替えたことで彼らの道は開けた。ドラムスのJorg Michaelは渡り鳥ドラマーとなり、フラフラボーカルだったPeter "Peavy" Wagnerは才能を開花させてジャーマンメタルのカリスマになった。