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TYRANT / Running Hot / 1987

この時代の正統派ジャーマンメタルの3rdアルバム。デビュー作はMausoleum RecordsからもリリースされていたがもともとはScratch Recordsのアーティストだ。正統派ジャーマンメタルなどという凡百な表現をしなくてもこのレーベルから作品をリリースした、というだけで音はお分かりだろう。RUNNING WILDのような爆走力はないが、コンパクトながらしっかりとツボを押さえてメロディとリズムが一斉に走るので、安心して首を振り拳を上げて聞くことができる。ACCEPTに始まるジャーマンメタルの伝統をつめこんだギターに涙。

クサレポイント

ルックスが こんな人たちだから音を聴くまでは心配なのだが、それは杞憂と化すことになる。80年代のジャーマンメタルを知るにはここらへんのバンドも知っておくべきだろう。



HELLCATS / S.T. / 1987

70年代に"Violation"や"Coliseum Rock"といった名作を残し、80年代になって失速していったSTARZが事実上改名したバンド。ボーカルのMichael Lee Smithの弟は、たしかアイドルハードロックのREXことRex Smithだ。STARZもそうだったけどこのHELLCATSのハイライトもRichie Rannoのギターだろう。ジミヘンの影響をもろに感じさせるギタープレイとその楽曲は、70年代を通過したギタリストの典型でもある。かといって没個性でないところにその魅力があるのだろう。オープニングの"Hold"は泣きのメロディに劇的な展開と、聴かずにいるにはもったいない名曲。この曲だけでこのアルバムの存在意義が語れる。アルバム全体の出来はSTARZには遠く及ばないが、アメリカンハードロックの良心がちらほらしている。

クサレポイント

張り切って改名したものの、STARZ時代の音源はまだSTARZ名義のままリリースしていたという節操のなさ。このあたりはちょっと理解不可能だ^^;。



HELIX / Walkin' The Razor's Edge / 1984

へリックスのカナダでの人気はいまだ絶大だ。活動も30年を越えた大ベテランだがハードロックのもつパワーとスケベ心は失ってはいない(笑)。本作は彼らの4thアルバムで、最もヘヴィメタルしている作品として個人的に一番のお気に入り。TWISTED SISTERのもつバカ元気さと同じトーンを持ち、「アール! オー! シー! ケイ!」なんていう掛け合いをやってしまっている"Rock You"、きれいなオネエちゃんを拝めるPVが大人気だった"Gimme Gimme Good Lovin'"、このアルバムの中で一番へリックスらしくてカッコ良いと思う"When The Hammer Falls"などなど、当時も今も十分に楽しめる一枚なのだ。

クサレポイント

この後のアルバムは少しメロディックになっていく。バカ陽気なバンドだがけっしてチャラチャラしていなかったのがずっと聞き続けられた理由だろう。ホームページで前述の曲も聞くことができるが、映像はこっそりと自分だけで見るように^^;。



FARGO / No Limit / 1980

1979年に"Wishing Well"アルバムでデビューしたドイツ4年組。当然ながら70年代のハードロックの影をひきずる音だ。デビュー前には現SCORPIONSのMatthias Jabsも在籍していたがSCORPIONS加入のために脱退している。本作はジャーマンロック臭さはそう感じることはなく(強いて言えばリズムがSCORPIONSっぽいか)、ブギーにしてもバラードにしてもブリティッシュロックのような作品だ。とくに"Soul Survivor"は枯れた味わいも感じられる心に染みる名曲。

クサレポイント

"I'm A Loser"は3連にツインリードのメロディをこれでもかと絡める曲。"Doctor Doctor"にも通じるこのクサさは日本人の琴線をくすぐるのだ。こういう曲には無条件降伏すべし。



FARGO / Frontpage Lover / 1981

なかなかナイスなジャケットである(笑)。ドラムスが交代して(しかし本作リリース後に前任者は戻ってくるのだが)、前作よりも少し洗練された感のある3rdアルバム。洗練された、というよりは少し軽くなったかなという印象で、レゲエのリズムを取り入れたりなど実験的なところはその意欲をかうが、今ひとつ的を絞りきれていない。ギターのメロディは相変わらず素晴らしく、聞き手の琴線をくすぐっているだけに少しもったいない。

クサレポイント

次作で加入のTommy Newtonとバンドの創始者であるPeter Knornは4thアルバムリリースの後しばらくしてバンド名をVICTORYと変えて大成功を収める。Page49にFARGOの4thアルバムをレビューしているのでそちらもどうぞ。