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KIRKA / R.O.C.K. / 1986

60年代後半から幅広いジャンルで活動を続けるフィンランドのソロボーカリストが80年代に残したハードロックの快作。Page2で紹介したKIMMO KUUSNIEMI BANDに2曲参加したことがハードロック分野への参戦のきっかけになったそうだ。さて、本作はなかなかの掘り出しもので、DEEP PURPLEばりにハモンドオルガンとギターとがリフをザクザクバリバリ刻みあう"Strangers In The Night"と"I'll Be Yours"はとくに素晴らしい。"School's Out"と"Born To Be Wild"のカバーはイマイチながら、十分にハードロックしているアルバムだし、何しろ歌が上手い。サポートメンバーのJanne LouhivouriとJarmo Nikkuの二人のギタリストの仕事も完璧だ。メロディックハード派は見つけたら即確保。

クサレポイント

このアルバムはFlamingo Recordsからのリリースだが、フィンランド随一のメタルバンドであるTAROTはこの時期にKIRKAと出会い、彼の紹介のおかげでこのレーベルからデビューアルバムをリリースできたそうだ。



V.A. / Live And Heavy / 1981

有名どころのライヴ音源ばかり集めたコンピレーションだが、音源の出どころが書かれていないから既発か未発かわからないのが辛い。たいていは有名なライヴアルバムをリリースしたアーティストばかりだけどDEF LEPPARDの"Rocks Off"はどこからのものだろうか、聞いたことがないライヴテイクだ。「ファーストE.P.の"Getcha Rocks Off"の音源」という補足があるが、あれはスタジオテイクだったと思うのだ。

DEEP PURPLE Smoke On The Water
NAZARETH Razamanaz
MOTORHEAD White Live Fever
DEF LEPPARD Rocks Off
RAINBOW All Night Long
STATUS QUO Roll Over Lay Down
WHITESNAKE Ain't No Love In The Heart Of The City
UFO Lights Out London
GILLAN Unchain Your Brain
BLACK SABBATH Paranoid



クサレポイント

実は内容よりも楽しめたのはこのジャケットだ。ガリバーのごとくデカくなった男が両耳をステージ用のスピーカーに挟まれて血の涙を流す、というコンセプトには脱帽だ。 裏ジャケでは、こびとのごとく小さくなった男がスピーカーの中で耳をおさえてる、という表と逆のコンセプトなのでもう一度笑える。




SANTERS / Shot Down In Flames / 1981

カナダのトリオ編成のバンドは良いバンドが多い。SANTERSはRick SantersとMark Santersの兄弟が立ち上げたバンド。デビュー作はマイナーどころからのリリースだったが、ラジオ局を中心に彼らの話題が広まり、すぐに名の知れたバンドになった。リキまずスカさず、少し泥臭さを感じさせつつヘヴィで疾走間あふれるハードロックが流れてくるのが痛快な作品で、たしかにラジオからこれが流れてくるとご機嫌さんだろうなぁという感じ。B面のオープニングを飾る、亡きBon Scottに捧げた"Shot Down In Flames"(AC/DCカバーではない)は胸にグッときます。

クサレポイント

RickがギターでMarkがドラムスなんだけど、この二人のコンビネーションは絶妙だし、そこに絡むベースのRick Lazaloffのプレイも印象的。メインのソングライティングはRickで並々ならぬ才能はすでにこのころ全開なのだ。



SANTERS / Racing Time / 1982

少しメロディックになった2ndアルバム。こちらの琴線を大いにくすぐるニクいメロディラインを自在に繰り出すのがRick Santersの凄いところである。"Mystical Eye"で聞かせるギターソロは実にユニークで、彼のオリジナリティを感じさせる。本作はヨーロッパでも好評を博して、ブリティッシュツアーを組むまでになった。一枚出すごとに評価を上げていくのも十分納得できる内容だ。個人的に彼らのベストアルバムに推したい一枚。

クサレポイント

デビュー作は6日間でレコーディングを完了したが、本作はたった12日間で仕上がったそうだ。そのへんはデビュー前の状況と変わりなく、それでも優れた作品を残せるのはやはり凄いことだと思う。



SANTERS / Guitar Alley / 1984

トップに収録された"Can't Shake You"がMTVのローテーション入りした、ということでも分かるけど、全体としてキャッチーな曲が続く。悪く言えば売れセン狙い丸出しなのだが、Rickの作り出したメロディラインがSANTERSのニオイを残してくれているから少し安心。ラスト前の"Baby Blue"が本来の彼らの音であると思う。日本では翌年の1985年にリリースされたけど、けっこう良く売れていたと思う。邦題の「蒼きヒーロー」というのが印象的だったし、"Hotline"って曲が地味なのになぜかいまだに耳に残っている。FREEの"All Right Now"をカバーしているけどこちらは面白みがないのが残念。このあと1986年にもう一作品レコーディングされたが、リリースは1998年になってからであった。

クサレポイント

本作のプロデュースはTRIUMPHのRik Emmett。これが縁でRick Santersは事実上4人目のTRIUMPHメンバーとして、TRIUMPHのツアーでギターを弾くことになり、SANTERSは一時活動を停止させた。Rik EmmettがTRIUMPHから脱退したときに、Gil Mooreから後任としてRickの正式加入を打診されたけど固辞したのは有名な話だ。