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INDESTROY / S.T. / 1987

OBSESSEDの曲名から名をつけたバンド。何の変哲もないスカスカスラッシュで、とくにこの低予算丸出しの軽々しいスネアの音を何とかして欲しい。しかし、曲の構成や演奏テクなんかは平均点をあげられるだろう。気分転換でスカッとしたいときにそばにあると便利な一枚。スラッシュの持つ役割は果たしているアルバムだと思う。

クサレポイント

New Reneissance Recordsからのリリースだからどれほどモコモコでひどい音なのかは想像がつくだろう。スラッシュだからじっくりと聞くという雰囲気ではないが、A面2曲目の"U.S.S.A."のカッコよさはなかなかのものだ。



HELLION / S.T. / 1983

当時「女ディオ」と呼ばれたAnn Boleynが結成したバンドのデビューミニアルバム。のちのち彼女はメンバーを変えながらもバンドを維持して成功を収めることになるのだが、本作はまだまだ洗練されてはいないながらもHELLIONというバンドがいかに正統派路線で進みたかったかが分かる作品だ。ディオの域にはまだ遠いかなと感じさせるAnnのノドも、メタルが好きだという魂は十分にこもっているし、"Blackstabber"をはじめとして、佳曲ぞろいの素晴らしい作品だ。

クサレポイント

しかしこの「女ディオ」っていう表現は実はあんまり好きじゃない。しぼり出すようにワイルドにメロディを歌い上げるタイプの女性ボーカルのことはたいていそう表現されているんだけど、ディオにも本人にも失礼な表現じゃなかろうか。だいたい「女北島三郎」と表現された女性演歌歌手なんていないじゃないか、という風に考えるとやはり変な表現だ。・・・と考えるのは変だろうか(笑)。



ARMORED SAINT / S.T. / 1983

John Bushは巧いボーカリストだなぁと改めて感じる彼らのデビュー12インチシングル。Dave Prichardのギターワークも光っている。Metal Blade Recordsからのリリースなので音質が良いわけはないのだが、それを補って余りある楽曲のレベルの高さは特筆ものだ。"Lesson Well Learned"ばかり取り上げられるが、B面の"On The Way"はHM/HRの正しい姿ともいうべき、深い味わいのある隠れた名曲だと思う。

クサレポイント

この翌年、メジャーからリリースした"March Of The Saint"でワールドワイドな成功を収めた。このアルバムにも名曲がいっぱいだ。LAメタル全盛でチャラチャラしたバンドが多かったなかで、メタリックな衣装で通した彼らはホンモノのヘヴィメタルだった。



MALICE / In the Beginning / 1985

LAメタル全盛時にあって、アメリカのバンドなのに欧州系の湿り気を帯びた正統派なメタルを聞かせる数少ないバンドのひとつであった。金髪の男前一人以外にテッド・ニュージェントが4人いるようなむさ苦しいルックスもさることながら、ストレートなサウンドは特異な存在で、曲によってはJUDAS PRIESTそっくりなところが当時のキッズのハートを熱くさせたものだった。しかし、やはりLAメタルというレンジの狭いムーブメントの中だけで語られてしまったのが、まともな評価を得ずに消えていった原因だろう。

クサレポイント

"Air Attack"や"Stellar Masters"あたりがJUDAS度も高く、これがLAメタルで語られるバンドかと思うぐらいだ。一度は聞いておきたいアルバムなのだ。



MASS / New Birth / 1985

1984年にデビューアルバムをリリースし、その後レコーディングされた2ndアルバム。なにが「マス」なのだろうか^^;と思うバンド名は、出身地がマサチューセッツ州であることに由来しているようだ。ということで余裕をもって演奏していることが音からも想像できる本作はメロディックハードの傑作といっても過言ではないだろう。何気なく買ったとしたら、そのお買い得度は計り知れない一品。決してゴリゴリのメタルではないが、長くメタルを聞くならこういうメロディアスでストレートな心地よさも必要だ。"Time"、"Back To Me"、シングルカットされてヒットしたコマーシャルな"DO You Love Me"など、心に残る曲が多い作品。

クサレポイント

この後バンドはSTRYPERのMichael Sweetに出会い、彼をプロデュースに迎えて"Voice In the Night"アルバムで成功を収める。年月はたったものの、今でも現役のようだ