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WRABIT / S.T. / 1981

元はTELEMANNと名乗っていたバンドのデビュー作。ギターが二人にキーボードがいて6人編成という大所帯バンドながらコンパクトな音作りが印象的、何といってもオープニングの"Anyway Anytime"が素晴らしい。キャッチーでありながら湿り気も帯びているメロディはカナディアンハードロックの良心を見せつけてくれている。カナダ、アメリカでヒットを記録し日本でも シングル盤がリリースされたほどだ。他の曲にしてもFOREIGNERやSTYXほどの洗練度はないが、たしかにそれらを引き合いに出されるようなメロディを持っている。

クサレポイント

カナダでのリリース時はセルフタイトルだったがアメリカ盤では"Wrough & Wready"のタイトルでジャケを差し替えてリリースされた。日本盤ではカナダ盤のジャケットが使われていた。



WRABIT / Tracks / 1982

リーダーのLou NadeauとギターのJohn Albani以外のメンバーは脱退(後にDavid AlpinとChris BrockwayはPage96で紹介したHANOVERに参加している)、キーボードとドラムスの二人を加入させて5人編成でレコーディングした2ndアルバムが本作。カナディアンハード特有の、力強さのなかにも泣きのメロディ満載なのは変わりなく、そのへんを余裕で聞かせるのがなんともニクい作品だ。

クサレポイント

本作リリース前に行ったアメリカンツアーはBLACK SABBATHのサポートバンドとして出演したものだったそうだが、このカナディアンハードロックの王道なメロディには少し無理があったのだろう、評判は芳しくなかったようだ。



WRABIT / West Side Kid / 1983

前作で加入の二人は早くも脱退し、新しい二人が加わった3rdアルバムだが彼らのラスト作となってしまった。AORな感じのしっとりした曲が増えた感はあるが、ハードロックのアルバムとしても聞き応えのある作品だ。SANTERSやLOVERBOYもそうだけど、単なるアメリカン産業ロックの物まねじゃなくて、良い意味で煮え切らない憂いのようなものが彼らのようなカナディアンハードロックのメロディの中にはしっかりと息づいている。その証を見せつけてくれるバンドのひとつであるWRABITは大切なバンドなのだ。

クサレポイント

オリジナルメンバーのJohn AlbaniとChris BrockwayはWRABIT解散後、メタルクィーンの名を欲しいままにしたLee Aaronのバンドに参加して成功を収めた。



STAMPEDE / The Official Bootleg / 1982

デビューアルバムでありながらほとんどがライヴ音源。NWOBHMではAZやCHINATOWNがこのパターンだったがこういうのは、アルバムデビューする前で広く知られていないバンドなはずなのにお客が盛り上がっているのがすごいなぁといつも思うのだ。さて、結成当時にはFrank NoonもメンバーだったSTAMPEDEは、とにかくあのUFOの生き写しといわれたほど曲もボーカルも演奏もそっくりなバンドだったが、改めて聞くとやはりその思いを強くする。曲によってはTHIN LIZZYからの影響も感じさせる、ブリティッシュハードロックそのものの音だ。てことでこの作品にケチをつけることは全く出来ない。オープニングの"Missing You"はリズム隊もメロディもボーカルも、すべて湿り気を帯びたNWOBHM史に残る名曲だ。

クサレポイント

ボーカルのRueben Archerは男前ギタリストのLaurence Archerの「義父」にあたる間柄だ。Ruebenにしても義理の息子と一緒にバンドするのって、どんな気持ちだろうねぇ^^;



STAMPEDE / Hurricane Town / 1983

当時は日本盤もリリースされた2ndアルバム。今度はスタジオ録音だが、1stアルバムの、あの湿りに湿ったメロディはどこに行ってしまったのかと思うような明るいメロディがアルバムを支配している。とはいえアメリカンロックみたいになってしまったわけではなく、やはり英国のバンドであることは感じられる「明るさ」なのである。ギターのメロディにTHIN LIZZYを強く感じる曲が多いのも、単に「明るくなった」だけで切り捨てられない理由だろう。UFOのニオイをプンプンさせながらも高い演奏力を聞かせる"The Other Side"は一聴の価値あり。

クサレポイント

残念ながらバンドは直後に解散。Laurence ArcherはPhil Lynottが結成したGRAND SLAMのギタリストになった後UFOにも参加することになる。