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SAINT / Warriors Of The Son / 1984

祝・SAINT復活! 新作の"In The Battle"はメンバーのルックスはかなりヤバいが、灼熱のメタル魂が込められていて感涙モノだ。さて、1984年リリースのデビューミニアルバムが本作だが、この時代にはアメリカにもこんなメタル野郎がいたことを後世に残すのがこのアルバムの役目だったのだ。荒すぎる音作りや荒すぎる演奏についてあれこれ言う水準でなくて、これを認めなかったらメタルは聞けない。ボーカルのJohn Kramerは早くもロブ・ハルフォード丸出しのノドを披露している。名曲"Abyss"でガッツポーズ。

クサレポイント

Morada Recordsというマイナーどころからのリリースのため盤は希少で、どうしても聞きたくてかなり探しまくったレコード。バンド復活とともにめでたくCD化されたけど、このテのメタルはバリバリと耳に障る針の音の中で聞きたいですなぁ。



NO BROS / Heavy Metal Party / 1982

Page 8でも紹介したオーストリアのバンドのデビューアルバム。デビュー作ながらライヴアルバムで、お客のノリがかなり良いことでも分かるのだが1974年ごろから活動を続けるベテランでオーストリアでは既に名の知れた存在だったようだ。サウンドも70年代の渋いところをひきずりながら、ハモンドオルガンが疾走する正統派ハードロックで、スイスのBLACK ANGELSあたりと似た印象だ。キーボードソロもガッチリと収録、これがまたジョン・ロードみたいでカッコいい。この後の作品はギター色が濃くなる。

クサレポイント

後にシングルカットしてヒットした"Good Morning Sir"も収録。これがまたキャッチーで、DEEP PURPLEっぽさもまぶした心地よいハードロックだ。



PANDORA'S BOX / S.T. / 1982

70年代クサさを残したハンガリーのバンド。ハモンドオルガンとベースのグルーヴ感と枯れたメロディの絡まり具合があまりにも素晴らしい。70年代のハードロックやプログレの味わい方を知っている人には是非聞いてもらいたい一枚だ。ゴリ押しのメタルなんかでは決してないが、たくさんのハードロックを聞く上ではこういうレイドバックしたメロディも必ず必要だ。

クサレポイント

ジャケットに描かれているのは憂歌団の内田さんではなく^^;、バンドの要でギタリストのBencsik Sandorだ。渋いギタープレイも一聴の価値あり。



CATWALK / Love Is On The Line / 1986

タテノリなブギーバンドでAC/DCがお手本のようなサウンドあったり、キャッチーなものがあったりブルーズっぽかったりと、要は当時のメインストリームを演りたかったんだろうなぁという音。メンバーのHeikki Silvennoinenは、70年代にTABULA RASAでアルバム(日本では「北欧の幻想」という、たまらない邦題でリリース)を残した人で、フィンランドを代表するブルーズ・ギタリスト。彼のギタープレイに味がありすぎて、メインストリームというには玄人ウケするプレイが印象的。

クサレポイント

リリースはPoko Rekordsから。フィンランドといえばこのレーベル、いまだに健在なのが嬉しい。



TT QUICK / Metal Of Honor / 1986

骨太なリズム、ヒステリックでワイルドなボーカル、メロディを重視しながらも弾きまくるギターと、そういう要素が揃った正統派パワーメタル。決してスラッシュでなく、時代に迎合することなく信念のメタルを貫いている。こういう作品を前に我々が出来ることはフルボリュームでひたすら聞きまくることだけだろう。Zakk Wyldeの師匠格のDavid Di Pietroのギタープレイは凄い。元WHITE TIGER〜HELLCATSのErik Ferroのドラムスも良い。

クサレポイント

メジャーデビューしたのに次作以降は契約がとれずインディーズに移行するなど運のないバンドの代表格となってしまった印象がある。Davidは後にNUCLEAR ASSAULTに加入。