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STORMWITCH / Tales Of Terror / 1985

Page108でライヴアルバムを紹介した、これぞホントのジャーマンメタルなバンドの2ndアルバム。ACCEPT、IRON MAIDENの影響下にありながらも間違いなく自分たちのカラーを持っていて、特に1stから3rdアルバムまではメジャー志向などへの色気も見せず、ひたすらパワフルかつ痛快なクサクサメロディを聞かせてくれた。実質的リーダーであったLee Tarotのギターから流れるメロディは中世的で魅力だったし、 首が45度傾いてるベーシストも印象的^^; そんなバンドも長年の活動の中でオリジナルメンバーはボーカリストだけになっているが今でも健在だ。

クサレポイント

Lee Tarotともう一人のギタリストSteve Merchantとがこのバンドのソングライティングを担当していて、実にイイメロディを聞かせてくれるのだ。ちなみにSteve Merchantの本名はなんと「Stefan Kauffman」なのだそうだ。



HEAVEN / Where Angels Fear To Tread / 1984

Page27で紹介したオーストラリアのバンドの2ndアルバム。日本ではなぜか「暴力教室」の邦題でリリースされていた。おかげでこのジャケットを見るたび「暴力教室」という言葉が頭から離れなくなる。さて本作はそんな邦題は失敗だったと思えるくらい優れた作品だ。メロディアスなAC/DCといった感じで、タテノリなリズム中心ながらギターのメロディが琴線をくすぐる曲が多い。同じオーストラリアでタテノリ系ならばROSE TATTOよりもこちらのほうがツボにはまる。

クサレポイント

"Love Child"はあのシュープリームスのカバー曲だが、固くひきしまったリズム隊とポップなメロディとがうまくかみ合っていてなかなかの出来栄え。ゲスト参加でバックコーラスを聞かせるGlen Hughesもいい仕事をしている。



CLOVEN HOOF / S.T. / 1984

Page7とPage66でも紹介したNWOBHMの名バンドのデビューミニアルバム。オカルトでもなくサタニックでもなく、それでも自分たちをFire、Water、Water、Airと呼び、なりきり型で展開される本作はかなり強烈だ。シアトリカルに劇的な展開をみせるハードロックで捨て曲はなく、全編にわたって鳴り響くツインリードの構成美の妙はまさにNWOBHMの音。自分たちのこだわりが完璧なまでに音に再現されていて、この時代の名作のひとつにあげられるだろう。WARLORDが英国に誕生していたらこんなバンドになったのではないだろうか。今のヨーロッパのバンド達はWARLORDなどカバーせずにこのCLOVEN HOOFをカバーすべきである。

クサレポイント

オープニングの"Cloven Hoof"でいきなり彼らの世界に引きずり込まれるだろう。なにかにとりつかれたように「エコエコ〜、アザラク〜」と歌われると、梅図かずお氏の漫画を思い出して夜中にトイレに行けなくなってしまう^^;



HAWAII / One Nation Underground / 1983

Page76でも取り上げた、あら、今週は過去に取り上げたバンドばかりになってしまいましたなぁ^^;、Marty Friedmanの初期キャリアのバンドのデビュー作。やはりShrapnel Recordsと縁があるだけあって、Martyの早弾きギターが強烈なのだが、決してテクニックだけで突っ走るのではなく、ツボを押さえてメロディも大事にしているのが曲を聞けばよく分かる。3人組という、バンドとしては最小単位ながらも剛速球なパワーを感じる作品。

クサレポイント

しかし唯一耳に痛いのは、この素っ頓狂にイカれたハイトーンボーカルだろうか。ボーカリストはベース兼用なのだが、重低音なベースを弾きながら自分のノドのカン高さはどうしたもんだろうとか悩まなかったのだろうか^^;。それにしてもどこかで聞いた声だなと思っていたら、この声の持ち主は後に同じハワイ出身のギタリストGeoff ThorpeとともにVICIOUS RUMORSを結成するGary St.Pierreなのであった。



HAWAII / The Natives Are Restless / 1985

Page76のミニアルバムの後リリースされた2ndフルレンスアルバムはドイツのSteam Hammerからのリリース。「アロハ〜 オエ〜」の静かな民謡から一転、ツーバスのリズムで曲が始まるというのはACCEPTの"Fast As A Shark"のアイデアをいただいたものなのだろうか^^; 二つのバスドラの音が右と左にちゃんと分かれているのでヘッドホンできくと耳を攻撃されているように聞えるのがなんとも楽しい幕開けだが、ボーカルを変え、ベーシストとギタリストを加えて5人組になったことでなんだか普通のメタルになってしまった感じがする。Marty Friedmanのギターソロは相変わらず強烈なだけに少しもったいない。彼の魅力が十二分に伝わる"Beg For Mercy"は聞くと琴線をくすぐられるだろう。

クサレポイント

HAWAIIは本作でもって解散。Martyはサンフランシスコに渡り、CACOPHONYとして作品を残したあとMEGADETHに加入。以降の活躍は皆さんのほうが詳しいだろう。