Page 136
NOVA RUZE / Nova Ruse '91 / 1991 メロディはメインストリーム型。ギターの音が80年代のニオイを残したパリッと乾いた音なのが嬉しい。やたら重低音を強調した、睨みつけるようなブルータルな音質のギターのリフって実は苦手なのだが、彼らには無縁だ。チェコ語のポーカルは何を歌っているのか最初から最後までさっぱり分からないものの、リズムを損ねることもなく、スペイン語よりも耳障りはよいので慣れれば違和感はない。おあそびでところどころにサックスが飛び出てくるが、芯は実に正統派で80年代型のツボを心得た愛すべきハードロック。 クサレポイント キーボードもしゃしゃりでてくる「各パート合戦」的な展開をみせる"Srazka S Bidou"はアルバムのハイライトだ。この人たち、スタジオミュージシャンの集まりのようなテクの高さが印象的だ。 |
YAKUZA / Purple Hase / 1996 蔵出すには新しすぎてまだ発酵していないが、"Purple Haze"じゃなくて"Purple Hase"なのがなんとも心に引っかかる作品。メンバーの名にすべて"Purple"がついていて、ギターなんて"Purple Burn"って、なんちゅう名前だ(笑)。決してパープルっぽいバンドではないのでそこらへんは要注意。モダンじゃないヘヴィネスなうねりを持つリフがなんとも70年ライクなノリを醸し出していて、クセのなくなったBUDGIEみたいなノリが何だか新鮮。しか〜し、このルーズでハードロックでもメタルじゃないガレージ系のボーカルはダメだなぁ。 クサレポイント しっかし、サムライ、ゲイシャはともかくこりゃすごい和名バンドだわ。これじゃ日本デビューは出来ますまい。それなのにこれまた何故にウサちゃんなんだろう^^; |
VAVEL / S.T. / 1986 意外と宝庫なギリシャのメタルシーンの中でもトップクラスのクサいメロディと強引な曲展開で聞くものを圧倒する存在。90年代初期に解散するまで本作のリリースとお蔵入りになった2ndアルバムの音源を残した。我々には「バビル2世」でおなじみの^^;あのバベルの塔からとったバンド名のその由来のまま、聖書の話を歌にしてそこにクラシカルでくっさ〜いメロディにのせて流々と歌う姿を「耳で見る」ならば、あふれ出る涙は止められないだろう。さらにラスト前の「ギリシャ演歌」と銘々できそうなくっさ〜いバラードと、ラスト曲のVAVEL風バッハのトッカータを聞けば、彼らが一所懸命に自分たちのメタルをリスナーに聞かせようとする真摯な姿が伝わるのだ。 クサレポイント このこもりきった音質もさることながら、愛すべき素っ頓狂オンチ、さらにその足をひっぱるモタモタドラムスが、人によっては耳に痛いとしても^^;、魂までヘロヘロなわけではないことを聞く前にお断りしておこう。 |
ZODIAC MINDWARPS AND THE LOVE REACTION /
Tattooed Beat Messiah / 1988 「聖(セイント)・極道伝説」という素晴らしい邦題からも分かるように、半ばイロモノ的なノリで当時は日本でもアルバムがリリースされていたが、全ての歌詞が「ベイビー、オレはオマエのカラダがどうたらこうたら・・・」といった類のものなのはおいといて(笑)、音はストレートで重厚硬質なハードロックでそんなに嫌いじゃなかった。きっと好きになるとか嫌いだとかいう次元ではない音なんだろう。カバー曲の"Born To Be Wild"は歌いまわしにオリジナリティを感じる。"Back Seat Education"はMTVでもオンエアされていたが、こちらは不良ロックな香りをプンプンさせていたし、"Untamed Stare"はメタル化したAC/DCといった感じで聞き手の魂を熱くしてくれる。ミキシングがDEF LEPPARDを手がけたNigel Greenの手によるものだからだろうか、他にも意外なことにメロディアスな曲もあったりするので、聞かず嫌いでなく一度は耳にするべき作品だろう。 クサレポイント けっこうなおトシになってるだろうZodiacことMark Manning氏だが、いまも活躍中で、今年開催のWacken Open Airに参加予定だとか。イギリスのバイカーはドイツへ大移動するのだろうか^^; |
KROKUS / To You All / 1977 KROKUSの本邦デビューはMETAL RENDEZ-VOUSだが、ワールドワイドな成功を収める以前に母国でリリースしたアルバムが3枚あった。3rdアルバムの"Pain Killer"はよく見かけたが、デビューアルバムと2ndアルバムである本作はなかなかお目にかかれなかった。KROKUSといえばあれだけワールドワイドに売れながらも日本ではいまひとつだったバンドとして記憶されているが、その初期3作は何といってもあの金属製のノドを持つMarc Storace加入前であり、Chris Von Rohrがリードボーカルだった時代。年代がそうだからあたりまえだが、70年代ハードロック然としたストレートな部分とブルーズを基調とした泣きのメロディとの融合が印象的なバンドだった。KROKUSといえば80年代の直球ストレートなメタルがビシバシと体を突き刺す大好きなバンドなのだが、こういう初期の作品に触れるのも何とも新鮮な気持ちだ。"Festival"の泣きのメロディで涙の洪水。このころからロゴマークが変わらないのもついでに感心だ^^; クサレポイント バンド創始者のChris Von Rohrは初期にはキーボードだった。Marc加入にともなってベーシストへ転向。今はバンドにその姿がないのはちょっと寂しい。 |