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DEMON / Night Of The Demon / 1981

今年の夏はいつもよりかなり暑い。梅雨の蒸し暑さがそのまま移行しているようで、もう何ヶ月もバテ続けているような感じだ。さて、夏といえばお化けの季節だが、DEMONはそんな夏に似合うバンドだと言える。
VENOM、ANGEL WITCH、MERCYFUL FATE、DESOLATION ANGELなどなど、サタニックなノリを前面に押し出したバンドたちの仲間、ということになるし、シアトリカルなライヴステージからは「なりきり度」の高さを伺わせた人たちだか、私はどうも前述のバンドたちとはちょっと違うイメージを初めて聞いた高校生のころからずっと抱いている。自分たちが悪魔主義に入りきるのじゃなくて、それを演じている「お化け屋敷」的なバンドとして唯一無比なのがこのDEMONじゃないだろうか。「俺たちは悪魔だ、悪魔を崇拝だ〜、サタナ〜ス」ではなくて、「俺たちの悪魔の館へ遊びにおいで〜 悪魔がお迎え〜」という風なノリなのだ。
ホラー映画のタイトルをもじった名を持つ本作では、そこに示された実に堅実で誠実なプレイ、英国のバンドの誇りと薫りを堂々と提示したサウンドが彼らの質の高さも示している。これがデビュー作なのだから凄いバンドであることに間違いはないだろう。

クサレポイント

というのもリーダーが こういう表情だったから「お化け屋敷」と表現するのも分かってもらえるでしょう(笑)。本作のオープニング、「ラ〜イズ、ラ〜イズ・・・」のSEはその昔ウチのバンドのオープニングにも使わせてもらいましたが、お化け屋敷メタルは出来ませんでした^^;



DEMON / The Unexpected Guest / 1982

Les Huntは70年代からバリバリのロックギタリストだったけど、DEMONでプレイする彼のウェットなギターも、チュルチュル系早弾きギタリストをあざ笑うかのごとく「これぞホンモノのギタリスト」といったメロディを聞かせていて実にかっちょいい。前作のノリをそのまま引き継いで、シアトリカルにも展開できるメロディラインはさすがだ。リーダーであるDave Hillのパフォーマンスが目立ってきたけど、Les Huntともう一人のギタリストMal Spoonerのギターはこのバンドに欠かせないと思う。BLIND GUARDIANもカバーした"Don't Break The Circle"が素晴らしい。オカルトがテーマだが、ドロドロしているわけじゃなく意外にメロディアスな部分が多いので、聞かず嫌いにならず一度は聞いてみましょう。

クサレポイント

この1st、2ndあたりのNWOBHMの血を感じる作品と、それを昇華させた次作「悪魔主義(すごい邦題だ)」のころまでハードロックな要素を残したが、4thアルバムあたりから「悪魔」なノリは後退させて、本来持ち合わせていたポップなメロディラインを表に出した作風に変わる。リズムギターのMal Spoonerはその後亡くなってしまうが、バンド名は変えずに今もなお活動中



EDDA MUVEK / S.T. / 1980

オルガンハードロックの疾走感ってのは聞いていて何故にこう気持ちがいいものなんだろう。リズム隊がバシッバシッとキメを入れるところをオルガンとギターのメロディ組が疾走していくのは、ハードロック好きの耳にはたまらない音の流れだ。本作はすべてハンガリー語だが違和感全くなし、めまぐるしく変わるリズムにも戸惑いもなく、それは純粋なハードロックのスピリットが曲を貫いているからだろう。 同郷のKARTHAGOに勝るとも劣らない70年代型メロディアスハード。泣かせる曲ではとことん泣かせます。なぜかEPITAH、SCORPIONSといった旧ドイツのニオイもする。今も元気に活動中

クサレポイント

やはり「演奏が巧い」というのは基本ですなぁ。メジャーだろうがマイナーだろうが、人の琴線をくすぐるにはタメ息のでるようなフレーズを聞かせてくれるのが必要。年代を感じる録音状態がどうこうというのはその次でよろしい。本作はその良い見本といえるだろう。



KATAPULT / A Co Rock'n Roll !!! / 1989

チェコでは名の通ったバンドのようだ。活動歴は30年に及び、TURBOを始めとして多くのチェコのバンドに影響を与え続けていまだ現役。AC/DCみたいなタテノリや、王道・正統なハードロックが彼らの路線のようだ。それにしてもこのチェコ語でのハードロックは耳障りの悪さが逆に楽しめる。マ〜ロ、ロックンロ〜!と歌われるタイトルチューンはなんだか愉快で、おじゃる丸が歌っているかのような歌詞だが、オヤジ声がそのイメージを払拭しているのだ^^; 

クサレポイント

"Whole Lotta Rosie"のパクリチックな"Slova"はなかなか楽しい^^; 長くやっているだけあってオヤジなルックスに変貌を遂げつつある彼らのオフィシャルサイトも存在する。おやおや、今週はいまも頑張るオヤジバンドを紹介するページになってしまったようだ^^;



KATAPULT / Taste of Freedom / 1990

上述のアルバムに続く7thアルバム。アイルランドのWINTER'S REIGNのボーカリスト、Robbie Animal Hurleyをヘルプ加入させて全曲英語でレコーディングした。オヤジ声のボーカルから若々しいパワー溢れるボーカルにチェンジしたことで、前作のような、少しズッコケっぽい歌メロは影をひそめているのが個人的に残念。流々と歌われる歌詞が英語だとこんなに普通のブリティッシュなハードロックなのねぇ。とはいえ、BLACK SABBATHっぽい曲もあって、前作よりはほんの少し工夫されたサウンドになった。

クサレポイント

"All I Want Is Chance"はごきげんさんなアメリカンロックンロール。こういうのを入れるのはベテランらしい余裕の表れだし、ボーカルも余裕で歌いこなしているけど、アルバムの中で際立つ違和感を考えると少し辛いものがある。