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OVERDOSE / You're Really Big ! / 1989

なにゆえに、そして何がそんなに「おまえさんはホントにデカいぜ!」なタイトルなのかは知らないが^^;、曲によって出来不出来がはっきりしすぎているアルバム。あまりにもアイデアが多すぎて音を詰め込めるだけ詰め込んだ、笑えるけど聞き応えのあるインスト曲は良い出来だが、ギターよりベースのほうが手数の多い曲はあまりに退屈だ。ドカスカメタルあり様式メタルあり、このバンドは何が演りたいんだろうか。しかしその混沌としたところが実は魅力なのかもしれない。ギターは様式美志向だと思われる。本作をリリースした、カタカナで書くと案外かわいいこの「コグメロ」というレーベルは要チェケラッチョだ。

クサレポイント

そのコグメロからのリリースにあたってはSEPALATURAとのカップリングでも作品をリリース。その相方はバカ売れのワールドワイドになった。



ZAPPACOSTA / S.T. / 1984

カナダのアーティストの中ではTRIUMPHの次に好きだったSURRENDERのリーダー、Alfie Zappacostaのソロデビュー作。ソロとはいってもバックは全員SURRENDERのメンバーなので、実質的にはSURRENDERの2ndアルバム、ミニアルバムを入れれば3作目と言えなくもない。かつてデビュー作で"Nicole"という泣き泣きで劇的バラードを産み落としたSURRENDERであったが、本作ではその音楽性はかなり変わり、ビートの効いたAORな音作りになった。というわけでとてもクサレメタルなんかではないのだが、それでも彼の作るメロディの節々にはなぜかしらホッとする良心的なメロディが散りばめられている。本質を捉えるなら彼のメロディはSURRENDERのころからもちっとも変わらないといえるだろう。

クサレポイント

カナダ人の友人から聞いた話では彼はいまだあちこちのクラブで活動中、週末もライヴを続けている。ホームページもあるようだし、長く活動を続けるアーティストとして頑張って欲しい。



ROGUE MALE / First Visit / 1985

パンクっぽいノリの上に無理やりSAXONとMOTORHEADを乗せて10倍の水で薄めたぐらいの出来(笑)。オープニングが"Crazy Motorcycle"で、精神はSAXON、リフ中心の攻撃的なメタルはジャーマンメタルからの影響もうっすらとにおわせる。しかし、いかんせん演奏がショボ過ぎる。せめてもう少しアグレッシヴなリズムがあればなぁ。テーマはメタルとパンクとR&Bの融合、だったそうだが、結局はどのジャンルにも中途半端に届かない存在になってしまい、このジャケが最大のインパクトとなってしまった。こんな作品でも日本盤がリリースされるんだからこのときは良い時代だったんだろう。

クサレポイント

ボーカリストはアイルランドのベルファスト出身。アイリッシュなメロディはどこに吹き飛んだんだろうか。



HELLOISE / Cosmogony / 1985

先週紹介したHIGHWAY CHILEの1st以降に脱退した二人が立ち上げたバンド。なるほどこういうカッコよいメロディを継承したかったのねというくらい、実に正統派でツボを押さえたツインリードに、キッズは熱い拳を何度天に突き上げたことだろう。ダッチメタルといえばPICTUREだった当時の私にはかなり衝撃的だった。B!誌での好意的なレビューとも相まって、オープニングの「うぃあ〜、うぃあ〜」のメロディが脳天を駆け巡るメロディで幕を開ける本作は間違いなく名作の名を冠にできるだろう。"Run A Mile"の後半に絡むギターに涙。

クサレポイント

当時はそのメロディが強烈で、オランダのバンドなのに「北欧メタル」として紹介されていた。たしかに後のMADISONあたりと比べてもそれ以上にメロディアスかつパワフルなメタルが詰まった作品だ。



HELLOISE / Polarity / 1986

前作よりもギターのエッヂがよりNWOBHMになっている2ndアルバム。たいていは1stアルバムよりもオトナな音になっていがちなのに、このギターはちょいとした驚きだ。しか〜し、どの曲も老若男女のメタルを受け入れるような懐の広いハードロックがテンコ盛り。リフ主体でありメロディアスでありパワフルでありテクニカルであるということではこの時代に容易に耳に出来る作品の中ではトップクラスだ。オープニングにまたまた「うぃあ〜うぃあ〜」のコーラスをもってくるあたりは実にニクい。B面トップの"Helloise"はこれまた何度でも聞きたくなる名曲。買った当時はB面から先に聞いていました(笑)。

クサレポイント

その後長い沈黙の後にドラムスを中心に再結成。近々来日の予定があるらしい。