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RUST / Shoot Them Higher / 1989

祝・五輪開幕。さっそく金メダルも獲得してガンパレニッポンな夏になっておりますなぁ。ということでこのRUSTはギリシャのバンドで、本作はアテネでレコーディングされている。そりゃもう1982年前後の作品かと思うくらい、ドカスカなクサレバスドラの曲がオープニングから2曲続いてこちらのメタル魂が共鳴して大変なアルバムだ。ジャストとモタリの中間を叩くバスドラの音量の音がデカくてこもっているために、ギターの繊細な音がかき消されているあたりが特に生々しい。

クサレポイント

本作のみで消えてしまった存在なのがさらに哀愁をさそう。メンバーは今頃、地元でオリンピック三昧なんだろうか^^;



S.A.D.O. / Sensitive / 1990

Page77で紹介したドイツの乱痴気メタルのラスト作品。かつての勢いは今、笑えない形で継承しました、といった風になんともヘヴィなMOTLEY CRUEみたいになってしまって、あらら、時代に迎合したのねぇ、な出来上がりだ。ドイツ臭さ、らしさにも無縁。ということでベテランゆえに安心して聞ける演奏ではあるが、心に残る曲はまるでなし。フロントマンであるAndre Cookの声質の爬虫類度はアップしていて、NAZARETHが90年代にデビューしていたらこういう音だったんだろうなぁと思わせる。

クサレポイント

ラストに1stアルバムの曲を再録。これがまたこのアルバムでもフックになってるから嬉しいやら悲しいやら。



TURBO / Dorosle Dzieci / 1982

オープニングの、一発鼻歌な「シャロニ、イ〜カ〜!」でその拳を上げて、3曲目のバラードに涙。鼻をつくクサいメロディと、ハードロックのもつ悠然たるパワーとが合体したときの形容し難いカッコよさを理屈抜きに耳に叩き込んでくれる名作。ここに70年代のハードロックの強烈なエッセンスも持ち込まれているからたまらない。疾走な曲では80年代の輝き、アーシーな場面では70年代のくすんだ光を発している。とにかく本能で感じるカッコ良さに説明はいらない。

クサレポイント

ツインリードなギターのトーンは70年代のジャーマンロックのニオイがプンプン。歌とユニゾンで走るところが最高だ。



BRAINFEVER / You / 1988

2ndアルバムのころの曲をボーカルとドラムスを変えてレコーディングしたミニアルバム。このボーカル、オマエさんどこで眠っていたんだいというくらいの熱いボーカルで、その男が歌い上げる曲がまた良い!久々に聞いたけどこんなカッコよい作品だったのかと驚嘆した一枚だ。とにかくこの分厚くヒステリックな音はHELLOWEEN以前のジャーマンメタルの正しい進化の音だと言える。1stアルバムの衝撃がここまでに進化したのかといった具合。考えてみれば少ないながら彼らの作品にはハズレがないから驚きだ。そんなことを考えつつ聞くラストチューンでバリバリのキーボードソロまで登場してガッツポーズしたまま昇天。

クサレポイント

しかしB面1曲のみが若干テンションが下がるのが残念、残念ついでに本作が彼らのラスト作になったのも残念だことだ。



EF BAND / Deep Cut / 1982

Page67で紹介したバンドの2ndアルバム。メンバーが流動的で、実際はスウェーデン人と英国人の混合バンドのようになっていた。リフ中心の前作に比べて本作はその路線を引き継ぎながらも渋い70年代のブリティッシュハードロックのトーンを聞かせてくれる。リーダーでもあるBengt Fischerの語り部のようなギターは実に味わい深く、人間の耳には適度に隙間の開いたメロディも聞き込む条件を満たしている。ボーカルのJohn Ridgeは70年代のRob Halfordを上品にしたような声質の持ち主。Russ Ballardの曲を"Love IS A Game"と"Is Anybody There"の2曲カバーしているが、アルバムの中に違和感なくうまく溶け込んでいてこれまた聞きごたえある出来栄えだ。

クサレポイント

あの GIRLが演ってシングルカットもされた"Love Is A Game"だが、ミドルテンポのGIRLのヴァージョンよりもこちらのEF BANDのアップテンポなヴァージョンの方がよりハードロックしているのだ。