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ACID / S.T. / 1982

ベルギーのメタル歌姫のKate嬢が率いるバンドのデビュー作。 適度なすき間を感じさせる音づくりそのものは中期JUDAS PRIESTやMOTORHEADからの影響を伺わせるが、"Demon"や"Satan"、"Five Day's Hell"といったタイトルから察しがつくように、サタニックなイメージを押し出したかったようだ。しかしながらドロドロした演奏ではなくて、実にタイトで聞きやすい。ツーバスのドラムスをバックにザクザクとしたリフを中心にして弾きまくるギター、そこに絡むKateのボーカルがお見事。

クサレポイント

元はPREVIOUS PAGEという名で活動を始め、ブラックメタルな雰囲気を持つバンドだったそうだ。それでこのタイトルなら納得。



ACID / Maniac / 1983

ギターのリフがさらに輝きを増している2ndアルバム。Kate嬢が目立っていたバンドだが、それ以上にギターとドラムスの活躍がヒシヒシ伝わる好作。特に全ての曲においてギタリストのソロのパートが聞き手のツボをいやというほど刺激してくれるのだ。さらにはリフの中にRAINBOWやMETALLICAといったアーティストの影がちらほらしているのもそのセンスが多彩なことを証明している。ベルギーのバンドながらNWOBHM愛好家が買い求めたのもうなずける内容だ。リードギターがDemon、リズムギターがDizzy Lizzy、ベースがT-Bone、ドラムスがAnvill、というメンバーの名前もNWOBHMチックでステキ。

クサレポイント

当時のベルギーでもかなりの人気のあったバンドだったようだ。Mausoleum Recordsからのリリースではなかったのが今も昔も不思議なのだけど(笑)。



ACID / Black Cars / 1983

全4曲のミニアルバムだがタイトル曲は上の2ndアルバムに収められていたものと同じテイクでスピードチューンだ。どの曲もツーバスを右チャンネルと左チャンネルとに分けて録音してあるため、聞き終えるとなんだかとても疲れる(笑)。"Drop Dead"はACID節丸出しのツーバス曲、"The Day You Die"はACIDらしさ丸出しのツーバス曲、"Exterminator"はACIDだからこそのツーバス曲・・、とすべてツーバスの曲(笑)。ストレスが溜まったときに短時間でスカッと出来る一枚。

クサレポイント

しかし、"Exterminator"はミドルテンポから展開する劇的メタルで聞き応えのある曲だ。ドラムスのAnvill氏が大活躍。



V.A. / One Take No Dubs / 1982

地味なジャケットだがリリースはあのNeat Recordsから。Live In The Studioのサブタイトルも示しているが、一発録りでオーバーダブはしていないという意味が込められたタイトルが実に生々しい。4曲のみのミニアルバムで当時のNeat Recordsでは新人だったバンドが収録されているが、すべてこれぞNWOBHMな音のカンヅメ。ALIENは正統派なブリティッシュロック、HELLANBACHはRAVEN型の元気丸出しハードロック、BLACK ROSEはこのカッコ良さはどうしたもんだ的NWOBHMの鏡、AVENGERはこれまた典型的NWOBHM。

ALIEN Could Have Done Better
AVENGER Hot'n' Heavy Express
BLACK ROSE Knocked Out
HELLANBACH All Systems Go


クサレポイント

AVENGERはBLITZKRIEG解散後にNWOBHMの神様であるBrian Rossが興したバンド。その初期音源が本作に収録されているワケだが、彼の声が実に若々しいのが笑える^^; しかし「ヒョエ〜!」はすでにこのころから連発しているのだ。




MIDNIGHT DARKNESS / Holding The Night / 1985

ホラー映画のナレーションには必ず出てくる「真夜中の暗闇」をバンド名にしているが、サタニックでもホラーメタルでもない普通の、HELLOWEEN以前のジャーマンメタル。たしかに暗めの展開を見せることもあるが、それを転じてメロディアスなギターが切り込んでくるのは爽快。ただし、モタつくリズム隊はこの時代のマイナーなメタルでは許容範囲であるが、アルバムそのものはドカスカなスピード感もドロドロした怨霊感もなく、そのどちらにも欠けるので先に聞くべきジャーマンメタルは山のようにある、といった感じの1枚だ。

クサレポイント

GRIM REAPERをもっと地味にしたような印象のあるアルバム、実はバンドのことも良く知られていないのだ。