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GRAVESTONE / Victim Of Chains / 1984

HELLOWEENがメジャー化する以前のジャーマンメタルこそが真のジャーマンメタルだと確信しているマニアには初期Noise Recordsと並んでScratch Recordsはその要塞でもあった。このレーベルでパワー、メロディ、カッコよさ、そしてクサさ加減が群を抜いていたのがこのGRAVESTONEだ。SCORPIONSの"Blackout"みたいな始まり方をするアルバムだが、女性ボーカルかと勘違いするような、しかしルックスどおりの少し濁った暑苦しい超絶ハイトーンがとにかく凄い。そのオープニングの"Fly Like An Eagle"は、ジャーマンメタル愛好家の間では当時からずっと必聴曲でもある。巧い・下手はこの際おいておくとして^^;、ハイトーン一本調子ではなくて普通のトーンでも歌えるボーカルは芸達者だ。ずっとゴリ押しではなくしっかりとメロディもあり、しかもパワフルな作品。捨て曲なし!

クサレポイント

なんといってもこのバンドは名ギタリストのMathias Diethを産み落としたバンドとしても後世にその名を残している。全編に渡って言えることだが、とくに"For A Girl"での彼のギタープレイは超絶だ!



GRAVESTONE / Back To Attack / 1985

ギターのリフが相変わらずで嬉しい2ndアルバム。テンションはやや下がった感もあるが、リフのイントロ→中間部でメロディ攻撃→ギターソロでガンガン、という構成は全く正しいジャーマンメタルの姿だ。前作はSCORPIONSであったが本作ではACCEPTのニオイを感じる。トラディショナルな「メヌエット」を取り入れたのは少々驚きだが、Mathiasが情緒あふれるギタープレイを聞かせてくれる。"Break Out"でも彼のギターはキュイ〜ンと泣いているのだ。

クサレポイント

そのMathias Diethは本作を最後に脱退し、SINNERへ加入。相変わらずのプレイを聞かせた後すぐにU.D.O.に引き抜かれ、最終的には引退し今は法律関係の仕事をしているらしい。



GRAVESTONE / Creating A Monster / 1986

ふざけたジャケットはおいといて、3rdアルバムでも若干の進化の中でもハイトーンボーカルを中心としたGRAVESTONE節は健在だ。オープニングがツーバスでドカスカどひゃ〜なサウンドなのはジャーマンメタルの伝統だし、そこに被さるメロディアスなツインリードも聞き手の心をつかんで離さない。しかしながら、3rdアルバムにもなると洗練された雰囲気も感じるし、リズム隊の音の微妙な変化やキーボードのサウンドが気にはなる。驚きのポップな曲もあるし、全体的には下品度が上品に向上した、という感じ。タイトルチューンはけっこう耳に残る佳曲。

クサレポイント

この後バンドは沈黙してしまったが90年代になって48 CRASHにその名を変えて復活。こちらではゴリゴリメロディアスなGRAVESTONEの面影はもはや見られなかった。



GANG GREEN / You Got It / 1987

持っている以上蔵出さなければならないツラさを感じさせるアルバム。当時は「なかなか良いらしい」のウワサを聞きつけて我が家にやってきたアルバムだが、ハードロックなのかパンクなのか、スケーターズロックなのかよく分からない音だった。アメリカの若者独特のこの軽々しい声質は悲しいばかりだ。ドラムスはかろうじてハードロックトーンだがギターはパンクのトーン、ボーカルは出来損ないのBon Scottみたいでタテノリは悪くないけどツーバスな曲は声も演奏もスカスカ。てことで時折ハッとするドラムスのツーバスのノリだけ聞くアルバム。エンディングがしつこくて笑える"Born To Rock"はまだ聞ける曲だ。

クサレポイント

ビールばかり飲んでる連中らしくって、バドワイザーのロゴマークの使用権を得たことは共感できるのだが、それしか話題にならないのもどうかと思うのだ。



EXCITER / Heavy Metal Maniac / 1983

カナダのトリオでドラムスがリードボーカルといえばTRIUMPHかEXCITER。しかして音楽性は正反対。欲張りな私はどちらも大好きなのだ。さてさて本作はEXCITERの伝説のデビュー作で、当時はまだ「スラッシュ」というカテゴリーがなく、したがって彼らをスラッシュと表現するのは抵抗がある。しかもこのころはブラック、サタニックなイメージをかもし出そうとしていた。そしてここから飛び出すサウンドは「勢い100%とメタル魂100%をぶちかまして作りました」と何度も主張している。これは、良い悪いというレベルではなくて、メタル家を名乗るならこれに響くハートを持っていないと失格だろうと思われるサウンドなのだ。屁理屈をこねる口ではなく、メタル耳とメタル心で汗をかくアルバムなのである。全曲必聴だが、メタル兄弟のHiroyukiさんに捧げたい(^^)タイトルチューンと、ラストの"Cry For The Banshee"は特にのけぞって涙してシャウトして聞かなければならない。

クサレポイント

EXCITERのレコードは、表裏を「A面」「B面」と表記せず、「Heavy Side」と「Metal Side」と表記するのだ。こういう楽しみはCDでは味わえませんなぁ。