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GASKIN / End Of The World / 1981

Rondelet Music & Recordsからリリースされた本作はNWOBHMの中で「名作」として語り継がれている。トリオ編成であるGASKINはギタリストでメインボーカルであるPaul Gaskinの名からとったバンド名であるが、見開きジャケの内側にある、彼がダブルネックのギターを操っている写真にはこれからどんな音が飛び出すんだろうとワクワクさせられるのだ。三人組という少人数バンドながら、曲の展開の見事さ、それは、メロディにNWOBHMそのもののリフがありプログレ的な流れもありといった音色を持っていることが本作を高い評価に押し上げていると言えるだろう。そのへんの展開は英国のバンドなら「お家芸」なワケなのだ。所在無きフラフラッとしたボーカルも生々しさを演出している。プログレ要素は少ないものの"Sweet Dream Maker"と"I'm Not Fool"は必聴。ドラムスがカウントをとる声でトリ肌だ。これを3人で作ってしまったところにさらなる驚きが隠されている。

クサレポイント

本作リリース後にボーカリストを加入させその後もメンバーチェンジがあって結局は4人組になった。脱退組はACE LANEを結成してMausoleum Recordsからアルバムをリリースしている。



GASKIN / No Way Out / 1982

前作が素晴らしい作品だったからこそ、次作が凡作だったりするとその落差はかなりのものになる。本作はその良いお手本だろう。専任のボーカリストを加入させて4人組となったのは良いが、前作で聞けたハードロックとプログレの融合的な音、その音に響く琴線を持ったファンの期待を見事に裏切ってくれた、ありきたりのロックアルバムになってしまった。なんだかさわやかなロッカバラードまで演ってしまっている。Paul Gaskinはむしろ前作よりもギターを弾いていると思うのだけど、いかんせん曲がつまらないし他のパートも表現力がまるでない。本作を京都の某店で300円で買ったときは嬉しかったが、一度聞いてそれっきりになってしまった。"Broken Up"は前作のお蔵入り音源だそうで、たしかに"I'm No Fool"に似たこの曲だけはまだ聞ける。

クサレポイント

前作は見開きジャケだったけど本作はシングルジャケ。しかもPaul Gaskinのルックスがちょっとヤバいジャケットである^^;。この後ボーカリストは事故で亡くなってしまい、Paul Gaskinは業界からは引退してしまったそうだ。



LION / Power Love / 1986

英国の湿り気ボーカリスト、元TYTANのKal Swanがアメリカに飛んでMark Edwardsと出会い、結成したのがこのLION。Markが元STEELERということで、当時はそのことがこのバンドのウリでもあった。ギターはDoug(las) AldrichだしベースはJerry Bestなので、実は凄いバンドだったのだが、なんといってもKalの英国メロディなノドとバンドのアメリカンなカラーがまるで合わないバンドだった記憶がある。本作は日本で先行リリースされた6曲入りミニアルバムで全ての曲にKalが関わってるがイマイチ級ばかり。ただしトップの"Power Love"はKalの魅力が発揮されていて、リリース当時はもかなり話題になった。

クサレポイント

この後バンドは順調とはいえない活動を展開し続け、アメリカでの成功を遂げられずに結局は解散してしまうのだった。



VICE / Second Excess / 1990

ドイツのバンドだが、アメリカンハードロックのテイストに溢れている音だ。しかしボーカルは深く湿った男気ある声質で、チャラチャラしたところはない。演奏陣にしても美旋律なメロディと太い音のソロなどはドイツのバンドなんだなぁと思わせてくれる。メロディック派は要チェックなバンドだろう。C.C.Rの"Proud Mary"をカバーしているが、こちらも勢いの溢れたなかなかの出来だ。ゲストにZENOのMichael Flechsig が参加。

クサレポイント

日本盤ではリリースされていないと思うが、ドイツ盤でドイツ語のオビ付き(笑)。



V.A. / 1.2.3... Start / 1982

タイトルの意味は不明だが、ハンガリーのオルガンハードロックにハマる人にははずせないバンド、EDDA、PANDRA'S BOX、KARTHAGOのブダペストでのライヴ音源を収めたアルバム。歌詞もMCも全てハンガリー語なので、何を言っているのかはさっぱり分からないけれど、演奏を通して熱い魂はヒシヒシ伝わってくる。中でもKARTHAGOのライヴが熱い! とにかく弾くわ歌うわ、メロディックなギターとオルガンが豪快に絡むのが素晴らしい。さらにお客もガンガン歌っているからこちらの血も熱くなるというものだ。EDDAもPANDRA'S BOXもライヴバンドであることを十分に証明している。

EDDA MUVEK Micsoda Komedia
EDDA MIVEK Voros Tigris
P.BOX Halalkatlan
P.BOX Holgyvalasz
P.BOX Szupergep
KARTHAGO A Dob Mogul
KARTHAGO Az Arul O
KARTHAGO Requiem

クサレポイント

あまりにも渋く熱いライヴが込められたオムニバスなのに、この腰の抜けそうなマネキン君ジャケットはどうにかならないものだろうか^^;