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REACTOR / Rather Dead Than Dishonoured / 1991

全編を通してカイ・ハンセン度が高いボーカルと あまりにクサ過ぎるメロディとがとにかく強烈で、時代を一気に引き戻してくれるパワーを感じずにはおれない。トップチューンの"Reactor"はそんなパワーを濃縮ジュース並みに詰め込んだジャーマンメタル名曲。「りあくた、りあくた、り〜あ〜く〜たぁ〜!」と繰り返すさまは、「お、お、お、おさむちゃんで〜す!」の ざ・ぼんち、「ふざけやがって、ふざけやがって、ふざけやがって、このやろう!」のスーダラ節、そういった昭和の名言たちを想起させるリフレインだ(笑)。針が飛んだのかと思わせる、モタリとツッコミが交互にやってくるドラムスも強烈。この時代ぐらいまでは、今で言うエピックメタルだとかトゥルーメタルだとか、わざわざそういう表現をしなくてもそれが当たり前だったホンモノのクサレメタルが生息していたのだ。

クサレポイント

1991年にリリースしたデビュー作である本作は1993年になって日本でリリースされ、そこそこの評価を得た。実はこのバンド、後にも出てくるドイツの流れ者、S.L.Coeが新ボーカリストとして加入してしまったときは悪夢だと思ったもんだ(笑)。



ANGEL DUST / To Dust You Will Decay / 1988

十数年ぶりに蔵出して(笑)、カビをふきつつ聞いてみたらこれが案外聞けたりする作品があると何だか得した気分になるのだが本作がまさにそれだった。1stアルバムのスラッシュなサウンドとイモ臭いボーカルがいとおしかった私には、2ndアルバムとなる本作はS.L.Coeという中途半端にメジャーな、でも決して歌える人ではないボーカルに変わったというのがどうしても悔しくて、バンドの音が変わってしまったような気がして、買ってはみたもののまともに聞かずにもう21世紀、という作品だったのである。そして今聞いてみて、う〜む、悔しいけどアジのある作品だったんだという感じ(笑)。しかしCoeの声だけはやっぱり聞いていてもまどろっこしい。1st同様にメタル史にその名を残す大きな要因であろうこの大仰しいジャケットアートが雰囲気を醸し出すが、前作に比べやメロディアス、スラッシュの少し手前のサウンドは、クサいパワーメタルの香りをふりまいている。

クサレポイント

ソツがなさすぎる、というのが正直な印象。もっと熱く盛り上げて欲しいメロディラインも、おおっ!と血がたぎりかけたところでささ〜っとひいてしまうのがもったいないのだ。



WARLORD / Deliver Us / 1983

ヨーロッパのバンドっぽい音を持つアメリカのバンド(てことはアメリカのバンドらしからぬ湿り気あめメロディを持つバンド、ということでもある)として最も成功したアルバムのひとつ。初めて聞いたときにパワー度と哀愁度とがうまく混ざったメロディのカッコよさに掘り出し物を見つけたような幸せ感でいっぱいになれた作品だった。メロディの中に「詩」を感じるというか、なんともいえないリリシズムを見出すことの出来るオリジナリティ溢れる一枚で、どこのご家庭にも家宝となるべき質を感じる。惜しむべきはギターとドラムスの二人がメインとなったスタジオプロジェクトであり、バンドとしての活動が少なかったこと。アメリカ以外ののマーケットなら今でも十分にマニアの心に届く作品なのにもったいない。日本盤のみ収録で、先にオムニバスで好評を博していた"Mrs.Victoria"はゾクゾクするくらいギターソロがカッコ良いし、ラストの"Lucifer's Hammer"はそれ以上にツボにはまる。

クサレポイント

メンバーは"Destroyer"、"Thunder Child"、"Sentinel"、The Raven"、"Damien King"の5人、いやぁこういう名前を名乗るのは勇気がいるだろうがそういうところが好きなんだなぁ^^;



WARLORD / And The Cannons Of Destruction Have Begun... / 1984

前作の後に同名のスタジオライヴのビデオをリリース、そのときのサウンドトラックが本作だ。ボーカリストが交代しているが、彼の名が"Damien King "なのがちょっと笑える(笑)。一発録りな本作は前作に感じた流麗さに加えて荒々しいパワーも感じることが出来る。イントロのナレーションに続く"Lucifer's Hammer"が格別の出来栄えだ。このバンドは個々のテクニックもさるひとながらとパート同士のバランスが実にうまく取れているところに魅力を感じる。中でも全体を引き締めているドラムスの"Thunder Child"ことMark Zonderの、バラエティに富んだオカズを曲のあちこちに何気なくしのばせるプレイは素晴らしい。

クサレポイント

その後はベストアルバムをチマチマとリリースしながら2002年になってオリジナルの二人にHAMMERFALLSのJoacim Cans(メタルマニアなオッサンだ!)が加わってアルバムをリリースした。



FIFTH ANGEL / S.T. / 1986

アメリカンパワーメタルの良いところばかりを集めた作品。トップの"In The Fallout"でいきなりノックアウトだ。パーティーパーティーでチャラチャラしたところはなく、ゴリゴリバキバキなブルータルでもない。テンションにムラがなくメロディの憂いも素晴らしい。本作で一番その存在感を強くあらわしているのはJames Byrdのギターだろう。指先から流々とこぼれだすメロディは感動的ですらある。アメリカのハードロックが平均的にこういうレベルだったら、蔵に入れるレコードの数も倍増していただろう。James Byrdはこの後脱退、後に作られた2ndアルバムもまた佳作ではあったが本作に比べると存在感が薄くなってしまった。

クサレポイント

あのPEGAZUSのデビュー作の馬もヒドい顔だったが^^;、その元祖はFIFTH ANGELである、といわんばかりの 凄い顔^^;。内容とあまりにかけ離れたこのジャケットはもう一人のギタリストEd Archerのコンセプトによるもの。このRoadrunner盤では曲順も間違って表記されている。アメリカではさすがに 差し替えられてリリースされた。