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LORD / Szemedben A Csillagok / 1988 ジャケットのとおり熱い演奏が伝わる作品で、とにかく頑張るオヤジロック。流麗で洗練されたメロディだけでは味わえない、昔ながらのハードロック魂が耳から伝わる。再結成パープルからの影響が伺えるメロディが印象的。このショルダーキーボードの音って、ヤマハのショールームにいるみたいで懐かしい。しかしバラードとなるととたんに昼メロの主題歌みたいになるのはご愛嬌か。冬のソナタみたいな甘ったるいのもある。 クサレポイント キーボードのこのヒゲは独特だなぁ、なんて思ってたら、良く見たらこれはPage38で茶化してしまったKARTHAGOのキーボードのオッサンではないか。うーむ、ここでもいい仕事しています。ヒゲは白髪になったけれど再結成KARTHAGOで今も活躍中のようだ。 |
HIGH POWER / S.T. / 1983 最初は気になるスカスカな音も針が進むにつれて気にならなくなってくる。それはNWOBHMの荒々しさを感じさせるツインリード構成のギターのメロディが時折泣っき泣きのメロディをいやというほど聞かせるからだ。全曲フランス語、英語じゃないハンデをくつがえすどころかお世辞にもうまいとはいえない素っ頓狂ボーカルをも救うのはこのギタリストたちの活躍ぶりだろう。迫力不足ながらドラムスのカッチリしたリズムワークも悪くない。"Offrande Charnelle"で聞かせるドラマチックメタルの質の高さには驚く。 クサレポイント それにしても他にデザインはなかったのだろうかと誰もが感じるこのジャケット。インパクトは満点であります。 |
HIGH TENSION / Masters Of Madness / 1987 イントロからエンディングまで、まさにドイツの音だ。それもかつては突っ走るパワーメタルだったバンドが中堅どころになってSCORPIONあたりに憧れて作りました、という感じの音。バンド名を聞くと、歯を食いしばって鼻血を出してギター弾いてるんじゃないかというようなイメージだが、そこまで手に汗握っているワケじゃない。リフがどうしようもなくジャーマンメタルなんだけどメロディは一生懸命にメインストリームで頑張っているのだ。このあたりの「ひたむき」さが本作を中途半端なメタルと位置づけてしまうことを拒絶している原動力といえるだろう。"Leather Beauty"のイントロがACCEPTの"Screaming For A Love Bite"そのまんまなのは爆笑。 クサレポイント そんななかでもやっぱり疾走系は光っているワケで、"Intro"に続く"Stiletto Heels"はメロディアスに突っ走っている。 |
BISCAYA / S.T. / 1983 邦題は「北欧の戦士」、北欧メタルという言葉を日本で耳にするようになったころの一番の名作。ホントは「メタル」という狭い枠にはまらないアルバムでもあって、当時のメタル小僧たちにはそのことが少しネックでもあった。今考えると日本のリスナーの耳自体、かなりカテゴライズされた意固地な耳だったのかもしれない。しかしながらこのテクニック・テンション・アイデアともに素晴らしくハイレベルなアルバムはやはり名作と呼ばれるだけのことはあるだろう。レンタルレコードで聞いて腰を抜かしたトップの"Howl In The Sky"の、疾走するリズム、ギター、キーボードの壮絶なバトルが典型的な「北欧メタル」だったことがこのアルバムを「伝説」と呼ばせた理由でもあるのだが、そればかり聞いて他の曲は後回しだったことを今になって聞いて後悔するのだ。本作のみで自国でライヴを数回し、消えていったバンド、間違いなくDEEP PURPLEから影響を受けたサウンドであり、メタルだけじゃない、クラッシックやフォークやプログレといった要素をバックグラウンドに持った人たちが作った作品と位置づければ、こんなテンションは一作しか保てなかったのかもしれないなぁと感じ、不幸にも本作は「メタル」という言葉を前面に押し出されすぎたのかもしれないと感じるのだ。 クサレポイント 日本でもシングルカットされた"Summerlove"の、透き通ったバラードはなんと美しいことか。ハードな曲のバランスをとるが如く、忍ばせるように収録されている。 |
V.A. / New Electric Warriors / 1980 NWOBHMでは地味なレーベルだったLogo Recordsのオムニバス。「HMバンドワゴンを気にするな。これがNew Electric Warriorたちだ」という裏ジャケのタタキ文句が時代を物語る。カワサキのオートバイは意味不明だが、背負ったギターはWashburnのギターだ。って、そんなことはどうでもよろしい(笑)。 TURBO Running この中ではVARDISがレーベルの一番の顔だったと思う。他に"Hall
Of Mirrors"という名曲を残すDAWNWATCHERも個人的に嬉しい参加だ。しかし、ロクに弾けてないバンドも堂々と収録されているのがあるのがこういうオムニバスの面白いところだろう。本作が今になって評価されるのは、Gary
Mooreからの影響を受ける以前の、若き日のJohn
Sykesが黒のカスタムでリードギターを弾きまくっているSTREETFIGHTERの音源が収録されているからだ。
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