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AXE / S.T. / 1979

いかついイメージのバンド名とジャケットとは少し違い、実にメロディアスな曲を聞かせる叙情派ハードロック。BABY FACEの名で活動していたバンドが新たにメンバーを加えて改名し、AXEが誕生した。本作がデビュー作だが、ハードな曲、スローな曲ともどもBobby BarthとMichael Osborneのツインリードが聞き手の耳を大いに刺激する。オープニングの"Life's Just An Illusion"は美しい旋律に包まれたハードロック、バラードの"Forever"では音符そのものが泣いているかのようだ。ラストの"Battles"の、70年代ハードロックの権化たるリードギターに悶絶。捨て曲なしの一家に一枚なアルバムだ。

クサレポイント

曲によってFOREIGNERだったりSTYXだったりBOSTONだったり、ひとことに産業ロックといってしまえばたしかにそうだが、それらのバンドのレベルに少しもひけをとっていないと感じさせる音使い、曲構成の素晴らしさは覚えておくべきだろう。



AXE / Living On The Edge / 1980

前作の路線と同じながら、彼らの場合はそれが正解なのである。ツインリードの泣きと揺れるメロディにはとにかくAXE節というのだろうか、ホントにいい曲だなぁと思わせる説得力がある。"Fantasy Of Love"や"Let Me Know"あたりでそれを感じることだろう。そしてメロディックな部分を強調しつつ、"Running The Gauntlet"のような骨太な曲もあるのが彼らの持ち味なのだ。

クサレポイント

とにかくコーラスというよりはダブルボーカルに近いスタイルのボーカルが素晴らしい。そこにまたトーンの違うコーラスが絡みつつも手元では泣きのメロディを弾き流している。ライヴを見てみたいバンドのひとつだ。



AXE / Offering / 1982

印象が変わったのはジャケットだけでなく、泣き泣きなところがやや影をひそめ、重いベースラインを強調した、分かりやすいハードロックな音作りへと変化している。しかしながらアメリカでは本作は彼らがブレイクしたアルバムとなり、"Rock'n' Roll Party In The Streets"はヒット曲となった。日本でもアルバムがリリースされた。MONTROSEの"I Got The Fire"もハードロックなスタイルでカバー、これを聞いていると何故かPOINT BLANKを思い出す。 AXE節なメロディアスな部分は残っていて、"Steal Another Fantasy"や"Born The City Down"あたりに彼らの進化形を見る思いがする。Bobby Barthの歌声に枯れた味わいがついてきているのが驚きだ。

クサレポイント

彼らには関係ないのだが(^^ゞ、NWOBHMにもAXEを名乗るバンドがいて、このアメリカのAXEの存在を知って改名を余儀なくされるのだが、それがあのFISTなのであった。



AXE / Nemesis / 1983

まずジャケットをみてゲッ!というのが第一印象だった作品。オープニングからかなりハードロックなアプローチで、ハードドライヴィンにブッ飛ばしている。ギターソロのパターンが1st。2ndのころのそれとは違ってきているが、それは前作からの変化を受け継いだノリだと思う。しかしながらやはりAXEならではのメロディはあちこちに健在で、聞き終えて一安心、これで二度目も落ち着いて聞けるかなというデキだ。まだハモンドの音色を使っているキーボードがいい感じ。

クサレポイント

大がかりなツアーも成功させていた彼らだが、翌年になってバンドの要でもあったMichael Osborneが交通事故で亡くなってしまう。バンドはこの時点で解散してしまうが、1997年になって復活し、活動を続けている。