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FISC / Too Hot For Love / 1987

1st、2ndはMausoleum Recordsからもリリースされていたフランスのバンド。3rdアルバムである本作でリードボーカルがJimmy Martinに交代。1st、2ndが愛すべきクサレメタルだったけど、少しは歌えるボーカルが入って聞きやすいメインストリーム志向なサウンドへ変わった。"Keep On Running"や"Rock The Night Away"あたりの疾走感とメロディはなかなかのものだ。"Pay The Price"のように、過去の名残りのごとくバスドラをバカスカ踏みまくる曲もあって、このへんは彼らの血がそうさせるんだろうなぁと思うとやっぱり愛すべきバンドなんだと思ってしまうのだ。

クサレポイント

メロハー派にもウケるメロディを持ったバンドだけど、ドラの音と中国音階で幕をあける"Tokyo Nights"はちょっとカンベンして欲しい(笑)



VICTORY / Don't Get Mad...Get Even / 1987

Page49とPage127で紹介したFARGOが母体となったバンド。「凱歌」の邦題がつけられた作品でデビュー、本作はそれに続く2作目で、この2作品は同じ路線の渋いハードロックだ。FARGOの創始者でありVICTORYでもリーダーだったPeter Knornよりも、後のプロデュース業で名をはせたTommy Newtonが在籍しているバンドとして知られ、渋いHM/HRを聞かせる、いい意味で地味なバンドだった。本作のメンバーはこの二人のほか、元Gary Moore BandのCharlie Huhn、元ACCEPT・SINNERのHerman Frank、元EPITAPHのFitz Randow、今考えてもこのメンツは凄い。ミドルテンポな曲も含めて聞きどころは多いが、"Check's In The Mail"と"Running Wild"が特に骨太ハードロック度高し。"Check's In The Mail"は学生時の通学のお供な曲として今も耳にこびりついてる(笑)。

クサレポイント

Charlie Huhnはモノマネしているのかと思うくらいBon Scottそっくりな唱法。一度聞いたら忘れられないトーンだし、あらゆる意味で巧いボーカリストだ。VICTORYは最近このアルバムのメンバーで復活したらしいが彼は確かFOGHATに加入していたハズ。



FEMME FATALE / S.T. / 1988

バンド名はフランス語で「魔性の女」を意味するらしい。クサレメタルにはほど遠いが、真っ正直でカッコよいアメリカンハードロックだ。リードボーカルが女性でこの年代なので、どうしてもHEARTのような音の仕上げになっているが、ギターのエッヂや太いベースの音は、どうしようもなく明るいメロディを単なるポップスにさせないだけの迫力がある。2曲目のようなハードポップは初めて聞いても何故か懐かしさで満たされる。他にもコマーシャルに走り切らない、ツボをおさえたハードロックがテンコ盛り。意外に聞ける作品だ。

クサレポイント

Lorraine嬢はルックスがスティーヴン・タイラーみたい、とヒドいこと言われていたが(笑)、今でも活躍中。おキレイになってますなぁ。



HARLOT / Room With A View / 1989

これまたセクシーなオネエさんのジャケットだ。デンマークのハードロック、ブ厚いコーラスが響きエッヂの効いたギターがメロディを切り込んでくる部分と、キーボードを主体にしたポップなセンスとがユニークに絡んで、激しいだけ、甘いだけのロックになっていないあたりが面白い。メタルであってポップなワケだ。実はPage26で紹介したWITCH CROSSのAlex Savageが立ち上げたバンドだが、そんなわけで音楽性は大きく異なっている。WITCH CROSSでクサレメタル愛好家を唸らせた彼が、本作ではメロハー愛好家たちの琴線を全力でくすぐっている。キーボードがキラキラしてて恥ずかしいくらいにポップな曲もあるけど、伸びやかな彼の声がいい味付けになっているのだ。

クサレポイント

Alex Savageはその後SAVEGE AFFAIRで活動を続けるが、今は体型がかなり変わり(笑)、デンマークでメディアにかかわる仕事をしているらしい。



CITRON / Sex Bomby / 1992

チェコではベテランでそこそこ人気のあるバンドだそうだ。チェコ語で半分オヤジ声でのストレートなハードロックゆえに歌いまわしが時折こっけいに聞えて楽しい。なんとなくでたらめにカタカナで叫んでいる、という風に聞えるのだ。しかもかなりリキんでいるから迫力満点。演奏そのものはボトムがずっしりと効いたパワーメタルの一歩手前、といった感じでストレートに魂が伝わるあたりに好感がもてる。タイトルチューンで聞かせる、軽くスカしたロックンロールなフレーズもニクい。いまも活動を続け、アメリカへもツアーしているようだ。

クサレポイント

はいはい、確かにジャケットはこのページのオチにもってこいです(笑)。強烈〜(^^ゞ