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SATAN / Into The Future / 1987 Brian Rossを欠いたSATANはBLIND FURYに改名、一枚のアルバムを残して本作で再びSATANと名乗り、シーンに戻ってきた。このロゴマークを見るとホッとしますなぁ。 新しいボーカリストはMichael Jackson。同姓同名とはいえかなりのインパクトであったが、ボーカルスタイルはビブラートをかけて朗々と歌うタイプの人で、声質の違いこそあれ、Brian Rossに近いスタイルだ。ライヴでハマるタイプだったんじゃないだろうか。4曲入りのミニアルバムだが、NWOBHMの勲章はしっかりとメロディにぶらさがっている。Steve RamseyのギターとGraeme Englishのベースの音は昔のSATANのまんまだ。 クサレポイント "Hear Evil,See Evil,Speak Evil"のサビのメロディ、コーラス、ギターワークはまさにSATAN節。個人的には寂しいけれどBrianがいなくてもSATANはSATANだといわんばかりだ。クラッシックを取り入れた"Fuck You"は流麗なパワーメタルで歌詞は"Fuck You !"だけ(笑)。こりゃ「掛け声」といったほうが正しいか。 |
SATAN / Suspended Sentence / 1987 ヒドいジャケットも彼ららしいし、音はさらに彼ららしい。英国のバンドとして出すべき音が出ているのは、意識しているからではなく彼らが生まれ持ったものだからなんだろう。曲展開が少し複雑でもボーカルスタイルがやや直線的になっていても、「ブリティッシュ」の薫りは薄れることがない。 アルバムトップに、いかにもといった大仰なオープニングインストを持ってくるところなんて、80年代のメタルにどっぷり浸かった年代の涙腺を攻撃しているようなものだ。SteveとRuss Tippinsのツインリードは強烈、Graemeのベースの音もよく動いている。 クサレポイント 8分を超える"Avalanche Of A Million Hearts"はJUDAS PRIESTの"Beyond The Realms Of Death"を想起させるアコースティックな導入部で始まり、ギターのリフをきっかけにしてSATANの世界へ聞き手を引き込む佳作だ。 |
PARIAH / The Kindred / 1988 上記の2作品をドイツのレーベルからリリースしたSATANは再びPARIAHに改名、ドイツにもある程度の拠点を置き本作をリリースした。メンバーに変動はなかったけど、全体的にパワーメタルなトーンが強くなっているし、ボーカリストがややスラッシーな唱法に変化したが少し無理があるようにも聞える。ギターはソロパートでは相変わらずよく聞くといろいろと複雑なことをやっているけど、ザクザクとしたリフがいかにもこの時代の音、といった感じ。ドラムスにもう少し重量感があれば。 クサレポイント パワーメタルであり、曲展開が難しくなく容易くなく、なんとも独特の世界観を感じさせる。そのあたりはSteveがSATAN時代からずっと守ってきたものなんだろう。 |
PARIAH / Blaze Of Obscurity / 1989 PARIAHのアルバムとしてはこちらの方がオススメだ。各パートともに変にリキみ過ぎていた前作に比べて本作は熱いパワーメタルの音がぎっしりと詰まっている。ツインリードのギターのトーンがそれを一番強く感じさせる。パワーで押しながらすんなりと終わらない曲展開は、こういうボトムの効いたパワーメタルを彼らが演るからこそカッコよいのだ。「頬を叩かれても絶対にもう一方の頬を叩かせるな」と説く"Retaliate !"はリフも歌詞もこれぞパワーメタル。戦う男の美学だ、う〜んマンダム。 クサレポイント 本作後にボーカルがTYSONDOGのAlan Hunterに、ドラムスがSATAN〜BATTLEAXEのIan McCormackに代わりもう一枚アルバムをレコーディング。リリースされたのはずっとあとの1997年だったが、PARIAHは1990年の時点で解散していた。SteveとGraemeはSKYCLADを結成した。 |