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BRATS / "1980" / 1980

愛想のないタイトルだが、実際に1980年の作品。後にMERCYFUL FATEの核となるHank ShermanとMichael Dennerのデビュー音源でもあり、貴重といえば貴重だが、ここにはそのおどろおどろしい音は皆無である。NWOBHM寄りのモタり気味なリズムにのっかるパンクスタイルのボーカルはアマチュア以上プロ未満である。HankとMichaelのプレイ自体はかなりハードロックであり、時折ハッとするアイデアを聞かせているあたりは後の成功も頷ける内容だ。

クサレポイント

聞き進めていくうちにどんどんパンクな傾向が強まる。"Punk Fashion"なんて曲もあるがこれは歌詞もイマイチなのだ。てことでトップの"Oy-905"がいちばんのオススメとなるだろう。



NITRO / O.F.R. / 1989

速弾き、というか大道芸人弾きギタリスト Michael Angeloのバンド。とにかくこんなギターでひたすら弾いているのだが、とにかくエゲつないくらいタッピングが達者な人なので、音だけでなく見て楽しめるギタリストということでは唯一無比ではなかろうか。で、バンドとしてのNITROについては、スコスコと軽いリズムが実に耳障り。ボーカルのJim Gilletteにしてもアジも奥行きもないキンキンなハイトーンで、アルバム一枚を聞くにはかなり疲れる声質だ。「6オクターブのレンジを持ち、10通りの違った歌い方ができて、32秒間連続でシャウトが可能、彼がシャウトするとガラスのコップも打ち砕く」と紹介されているが、32秒間もシャウトされると頭痛に悩まなくてはならないだろう。

クサレポイント

Michaelはもちろんいまでも現役で活躍中。サイトでは映像が見られるが、ネックを無邪気に叩いているようにしか見えないのにこんなに音が出るのがまさに神業だ。しかし彼の名は本名のようだけど、続けて読むと「ミケランジェロ」になってしまうのも凄い(^^ゞ。。



RANDY COVEN BAND / Sammy Says Ouch ! / 1990

これまた芸達者なベーシストのソロアルバム的作品。ビリー・シーハンみたいに超人的なプレイではなく、オーソドックスななかにも攻撃的リフやグルーヴ感いっぱいのフレーズなどがテンコ盛りで楽しめる一枚。"Au Privave"で聞ける、ギターとのライトハンドのユニゾンとハードなリズムが強烈。ジミヘンの"Little Wing"のカバーもユニークなフレーズを連発しているが、こちらはギターで参加のAl Pitrelliがメインになっている。ドラムスに元RAINBOWのJohn O'Reilly、ゲスト参加にBlues Saracenoと完璧な布陣。

クサレポイント

速弾きギタリストとの競演を得意にしているようで、ユニゾンでそれをやってのけるのがエゲつなくカッコよい。いまも活躍中だ。



HOLY SOLDIER / S.T. / 1990

クリスチャンメタルのデビュー作。ジャケットからは、どいつもこいつも同じ顔した美少年だなこんちくしょう、という印象を受けて癪にさわるのだが、音はチャラチャラしたところもなく、実にひたむきなメロディアスHR/HMである。この当時の北欧メタルのバンドのイメージにもダブるものがあり、見かけで判断してはいけない見本といったところだろう。エモーショナルに歌いこなせるボーカルが素晴らしい。

クサレポイント

こちらもまだ頑張って活動中、だがやはりオッサンになると若々しい男前ぶりもスッ飛んでしまうんだねぇ。