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HAYWIRE / Bad Boys / 1986

80年代のカナディアンハードロックは日本では爆発的なムーブメントとはならなかったが、一方で「どのバンドもハズレでない」という定説があった。RUSH、TRIUMPH、APRIL WINEといったベテランからHELIX、LOVERBOYといった中堅どころ、Brian Adamsといったソロ・アーティストまで、みんなが元気だったという印象だ。HAYWIREもまたカナダのアーティストだなぁと思わせる、時には硬質なハードポップのメロディを持ったバンドだった。今聞きなおしても良い意味で80年代の音だなぁと感じる"Bad Bad Boys"のヒットを含んだこのデビュー作は日本でも話題となった。ハードポップといっても、このバンドのギターの泣き具合はやはりカナディアンハードのクサみの王道だ。

クサレポイント

バンド名には「クレイジーな」という意味合いがあるそうだ。それにしてもオビのタタキ文句が「楽しさいっぱい、恋の悩みいっぱいのデビュー・アルバム」だということを本人たちは知っているのだろうか(^^ゞ。



HAYWIRE / Don't Just Stand There / 1987

当時カナディアンハードロックにハマっていて(今もそうだけど(^^ゞ)、前作がかなりのヒット作となったために彼らに興味を覚えて、作品がリリースされるたびに追いかけることになる。この2ndアルバムはキーボードが出すぎていて、全体的にこの時代に売れ線を狙わなければならないという宿命も感じさせるアルバムなのだが、Paul MaCauslandのボーカルが流行のビートに流されずに地に足つけたようなハードロックにとどまらせているような気がするのだ。ギターのMarvin Birtのプレイは、とくにバラードの泣きの部分は相変わらず素晴らしい。"Man Enough"はベストバラードだと言える。"Hard Reaction"は待ってましたのパワフルハードロック。メロハー派には御用達だろう。

クサレポイント

本作のラスト曲、"Dance Desire"で東京で開催されたヤマハ世界歌謡祭にエントリー。見事金賞を獲得している。



HAYWIRE / Nuthouse / 1990

TNTやSTAGE DOLLSのプロデューサーであるBjorn Nessjoの手による作品でレコーディングもノルウェーで行われた。前作からインターバルがあるとおり、骨太でストレートなハードロックに生まれ変わった感のある作品に仕上がっている。デビュー作が「自宅のFMで聞くような作品」だとしたら本作は「ハイウェイをブッ飛ばしながら聞く作品」といった感じ。デビュー作だけ知ってて聞くと驚くだろうけど、実に自然な成長ぶり。単なるアメリカンハードロックもどきに終始しない、カナダのバンドらしいクサみをもったホネのあるメロディはギターに強くそれを感じるのだ。

クサレポイント

Marvin Birtってこんなに弾きまくれる人だったのか。"Strange One"はツェッペリンみたいでゾクゾクするのだ。



HAYWIRE / Get Off / 1992

相変わらずの骨太なサウンドで前作ともどもオススメ。唯一オシャレっぽい"Buzz"には違和感を覚えるが、"All Talk No Action"はY&Tっぽくて実にカッコよろしい。また、Janis Joplinの"Move Over"を彼らなりのアレンジでカバーするなど、個性的な作品だ。
彼らは前作までの3作品すべてかなりのヒット作だったのに、アメリカでのディールを獲得することが出来ずに苦戦状態となる。カナダではバカ売れなのに、このへんがバンドを維持するところの難しさなのだろうか。4thアルバムとしてリリースされた本作でもカナダでのステイタスを崩すものではない出来なのにセールスがイマイチで残念なことに結局ラストアルバムとなってしまった。

クサレポイント

この後1995年になってバンドは解散、メンバーはそれぞれ別のバンドで活躍中のようだ。復活を願うファンサイトで彼らのことが詳しく分かる。