Page 184


ZNOWHITE / Act Of God / 1988

シカゴのスラッシュバンドのラスト作。女性ボーカルのスラッシュは珍しいが硬派スタイルで違和感はない。SNOWHITEと名乗っていた82年ごろからMETALLCAやSLAYERでブレイクしたアメリカンスラッシュを支えていたイメージが強いバンドだけど、彼ら自身がハデにブレイクしなかったのが残念。ドラムスのドンガンと鋼鉄を蹴破るようなドラミングはやっぱりスラッシュの醍醐味を感じずにおれない。

クサレポイント

他の作品もそうだったけど、ジャケットに恵まれないバンドだと思う。結局は解散となり、メインプレイヤーだったIan TafoyaはCYCLONE TEMPLEを結成した。



WARLOCK / Triumph And Agony / 1987

こちらも女性リードボーカルのドイツのバンド。Mausoleum Recordsからリリースされたデビュー作から比べると見違えるようにメジャーになった。フロントウーマンのDoro Peschはメタル界で今も昔も「アネゴ」というイメージが一番ぴったりな人だ。激しくガナるワケじゃないけど、声にガッツが溢れている。Page123でふれたように、二人のメンバーがU.D.O.加入のため脱退したあとの4thアルバムが本作になるのだが、なんとCozy Powellのヘルプを得て、初めてアメリカに渡りレコーディングされた豪華作品。後々も彼女のライヴレパートリーになる"All We Are"を含んでいるがセールス的にいまひとつで、結局は本作がラストアルバムになってしまったのが残念。

クサレポイント

メタルとタンゴの融合、を目指したのかどうか、ミドルテンポな"Metal Tango"はこのジャケットともどもほんの少しだけクサレなテイストだ。



GLASS TIGER / Thin Red Line / 1986

カナダの爽やか系ハードロック、と言ってしまうと軽々しく聞えてしまう。イギリスのハードポップにもつながるような、一度聞いたら忘れられないメロディラインが印象的で、スラッシュばかり聞いて疲れた耳には意外とこういうサウンドが必要なのかもしれない。全米ヒットとなった"Don't Forget Me"ではBrian Adamsとkeith Scottがボーカルとギターで参加。ポップといってもポップになり過ぎないカナダのロック魂が感じられるデビュー作なのだ。

クサレポイント

日本では「傷だらけの勲章」という邦題にしては、オビの文句にも出てくる「アイドル」というキーワードで売り出されていたのはちょっと解せないのだ。



GLASS TIGER / Diamond Sun / 1988

リードボーカルのAlan Frewはスコットランドの出身だそうで、それで納得、彼らのメロディにはハイランドなニオイがする。前作リリース後に予定されていた来日公演がAlanの病気によりキャンセルとなり、その後彼の回復を待ってレコーディングされた2ndアルバムが本作。ややハードな側面も見せつつ、前作同様にポップになり過ぎないポップさと、覚えやすくメリハリのあるメロディを聞かせてくれる。"I'm Still Searching"のような、Brian Adamsを想起させる曲や"A Lifetime Of Moments"のような力むことのないバラードなど、実にリラックスして聞けるアルバム。

クサレポイント

本作でもプロデュースはBrian Adamsとの仕事で知られるJim Vallance。カナディアンハードはスジの通ったいいバンドばっかりだ。