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LAAZ ROCKIT / No Stranger To Danger

このジャケットどおりの男くさいパワーメタルがぎっちりとつまったアルバム。2ndアルバムになるが、前作で出し切れていなかったアイデアをあれもこれも出そうとしたけど勢いが先行してまとめ切れなかった、という感じの音だが、むしろその勢いに好感がもてて理屈ぬきでコブシを振り上げられる出来栄えだ。"Spared From The Fire"のような、一風変わった悠々としたメロディも彼らの持ち味だろう。次作以降はベイエリア・クランチと呼ばれる典型的ザクザクスラッシュへとサウンドは変化していくワケだが、個人的には本作のようなストレートでパワフルなメロディを持つ正統派路線を貫いて欲しかった。

クサレポイント

とはいえクランチと化したザクザクギターでバンドはメジャーデビューを図り、その知名度はワールドワイドクラスとなった。残念なことにバンド名を改名して解散の道をだどっている。



OBSESSION / Methods Of Madness / 1987

Page96で紹介したバンドの2ndフルレンスアルバム。なにもかもがクサレだったデビューミニアルバムが一番のインパクトだったことは言うまでもないが(笑)、「狂気の方程式」の邦題で本作デビューも遂げた本作は実に正統派な欧州型メタルである。当時のEnigmaがレーベルとしてSTRYPERとPOISONに次いでプッシュしていたバンドだったように、パワーあり泣きのメロディありヒネリを加えた展開あり、一粒で二度も三度もおいしい内容である。日本では本作で美少年の誉れが高くなったMike Visceraの実力が素晴らしいのはもちろんだが、ツインリードでガンガン攻めてくる二人のギタリストもじっくりと聞いてあげたいアルバムだ。

クサレポイント

本作後にバンドは解散、Mikeは二井原氏脱退後のLOUDNESSに加入してみんなを驚かせたが、そのまた後にイングベーさんのところのフロントマンとなった時のスタイルで再度みんなを驚かせたのだった。



MANILLA ROAD / The Courts Of Chaos / 1990

ここでは小出しにしているMANILLA ROADだが、何十年たってもひたすらに自分たちの世界を守る(というよりそこから出てこない(^^ゞ)スタイルは、自分にこだわるという点ではある種の勇気さえ与えてくれるといっても過言ではないだろう。ドゥームかと思いきや突然に突っ走るリズム隊、70年代のブリティッシュロックを引きずったメロディ、独特のクサみをもつギターなどなど、鼻血がでそうな濃さなのだ。本作ではキーボードを導入しているが、これがまた恐怖映画のサントラような効果を生み落としている。BLOODROCKのカバーであるD.O.A.が実に彼らの世界にハマっている。

クサレポイント

そんな彼らも本作で解散。今日はこればっかり(笑)。バンド創設者のMark SheltonはMANILLA ROADをプロジェクト化していまも活動中のようだ。




ALEX MASI / Attack Of The Neon Shark / 1989

クラッシックやジャズをバックグラウンドにしながらハードロックのアプローチを持つギタリストの中ではかなり才能豊かなギタリストのアルバム。彼のギターを聞いていると、早弾きっていうのはただ早いだけでなくてこういう風に憂いや湿り気をたっぷりと感じさせてくれないと物足りないと思う。シンセギターも飛び出すなど、こんなジャケットからは想像がつかない、実にユニークな作品。E.L.P.でもお馴染みのトッカータのカバーが秀逸で、Frankie Banali、Allan Holdsworth、Jeff Scott Soto、Kuniなど、ゲスト陣も豪華な作品。最近はモーツァルトやバッハやベートーベンなどをギターで弾くアルバムをリリースしている。

クサレポイント

自国でDARK LORDのギタリストとして活動した後にアメリカに渡り、どういう縁だったのかSOUND BARRIERに加入。ベーシストがJOSHUA加入のため脱退したのを契機にバンド名をSOUND BARRIERから自分の名であるMASIに改めさせている。