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LIMELIGHT / S.T. / 1980

どうやら双子らしいMikeとGlennのScrimshaw兄弟が興したバンド。ドラマーを加えて3人という編成ながら、この兄弟がベースとギターのダブルネックギター、キーボード、メロトロンにへダルベースも操る多才ぶりで、「イギリスのRUSH」の異名も取った。たしかにリードギター疾走時のリズム隊のバッキングなどにブリティッシュロックの薫りを漂わせつつもRUSHの影がつらくつのだが、"Man Of Colours"で聞くことができる、物憂げな泣きのメロディはLIMELIGHTにしか醸し出せない空間を感じる。"Don't Look Back"でメロトロンが絡むメロディもブリティッシュロック愛好家なら唸らずにはおれないだろう。本作のみで姿を消したバンドだが、メタル、ハードロック云々のカテゴリーやNWOBHMという狭いレンジでしか語られないのが実にもったいない、ブリティッシュロックの歴史にその名を残すべき名バンドだ。

クサレポイント

本作は後に黄緑色のジャケで再発され、1984年には泣きの3連が魂を揺さぶるシングル後発曲の"Ashes To Ashes"を加えてMausoleum Recordsからディストリビュート盤としてもリリースされている。



CHINA SKY / S.T. / 1988

こんなジャケットに変わったバンド名だけど、中身は実に健康的なメロディックハードロック。JOURNEYあたりをお手本とした、コーラスワークもキマっているハードロックの王道サウンドで、リズム隊がズッシリしていて聞いていても気持ちがよろしい。このテのバンドには甘すぎて聞いてられないメロディがちょくちょく顔を出すのだが、このバンドにはそれがなく、そのかわりにツボを押さえたメロディがまぶされているから最後までキチンと聞けるのだ。

クサレポイント

当時は日本でもアルバムがリリースされたけどほとんど話題にならなかったのは意外だ。このジャケットが災いしたのだろうか。本作リリースにバンドは解散、リードボーカルは自らのプロジェクトを立ち上げている。



LION / Dangerous Attraction / 1987

Page152で紹介したミニアルバムは"Power Love"を除いて1983年ごろに録音されたもので、"Power Love"のみこのデビューフルレンスアルバムと同じメンバーでの録音だった。本作ではその"Power Love"を再録して、レベルの高いアルバムとして世に送ったものの、様々なトラブルに見舞われたアメリカでは十分な評価を得られなかったことは彼らが実にツイていないバンドであるかを物語っている。それを証明するかのように、日本では当時かなり話題となったのだ。

クサレポイント

Kal Swanのふりしぼりだすようなボーカルは実に表情豊かで、聞き手の心を揺さぶるメロディを持っている。L.A.という華やかな場所で活動を続けていても、やはり曲はどこか湿り気を帯びて聞えるのが魅力だと思うのだ。




LION / Trouble In Angel City / 1989

マネージメントとレコード会社間のトラブルでバンドはロクに活動も出来ず、彼らは日本では人気があるのにアメリカではアルバイトで食いつないでいたようだ。業を煮やしたバンド自らの企画でPage152のミニアルバムを現在のメンバーで再レコーディングし、さらに何曲か加えて2ndフルレンスとしてリリースしたのがタイトルも皮肉っぽい本作だ。SLADEのカバー(このアレンジが何故か"Fool For Your Loving"っぽくて笑える)まで収録した本作だが、前作ほどのインパクトを本作に感じることはなく、一向に好転しない状況や創設者のMark Edwardsの事故など、結局LIONが再び活動することはなくなってしまった。Doug Aldrichはサポートとして参加していたHURRICANEに正式加入した。

クサレポイント

この後も、来日公演を巡ってトラブル続き。最後までレコード会社、プロモーターといった関係機関に恵まれないバンドだったのだ。