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MARSHALL LAW / S.T. / 1989

Ebony Recordsの初期サンプラーである"Metallic Storm"に参加していたDETROITのシンガーだったAndy Pykeがフロントマンとなった英国の正統派パワーメタル。とにかくスネアの音まで英国式の湿り気をプンプンふりまいており、ツインリードの妙や期待通りの楽曲構成など、ツボを押さえた展開をいやというほど感じる好作だ。"Rock The Nation"、"Hearts And Thunder"、"Screaming"など、激しさの中にドラマを感じるメロディにNWOBHM以前から脈々と続くブリティッシュロックのDNAを見る思いがする。

クサレポイント

"We're Hot"(わかりやすいタイトルだ)で聞かせるツインリードでも分かるように、ギターを大いに聞かせるパワーメタル。JUDAS PRIESTからの影響を伺わせる内容なのだ。



MARSHALL LAW / Power Game / 1992

前作のデビューアルバムリリース後にマネジメントとゴタゴタ沙汰を起こし、数年間のブランクを余儀なくされたあとの2ndアルバム。リズム隊にメンバーチェンジはあったけどツインリードの二人は残っている。かのRobin Georgeをプロデューサーに迎えてさぞブリティッシュな湿り気に磨きがかかっているだろうと思いきや。前作から待ちに待った人には正直ガッカリな作品である。あの英国の由緒正しい湿り気は半分以上失せて、その代わりにグルーヴ感を一杯に満たした音に変わっていたからだ。ふりしぼるようなややハスキーなハイトーンのAndy pykeもJames Hetfieldのような唱法へと変化しているが、これは時代が求めた変化だったのだろうか。パワーという点では優れたアルバムではあるが、前作で彼らを知ったか、本作で知ったかによって評価の別れるところだろう。

クサレポイント

それでも"No Justice"は情緒豊かに涙腺を刺激するバラード。こういう曲も出来るのになぁ。つまりは曲のバランスが悪いアルバムだということだろう。本作後に解散〜再結成を繰り返し、もっとストレートなパワーメタルへ進化したのは嬉しいことだ。



ZOTL / S.T. / 1991

ギタリストの名をバンド名にしているが、いまだに何と読むのか分からないバンド(笑)。ツェートルと読むようだか合っているんだろうか。女性ボーカルなバンドで、ドラマチックな展開を見せほどよくパワフルでほどよくメロディアスな作品だ。キーボードの味付けも効果的。ギタリストが目立つだけ合って印象に残る伸びやかなメロディを聞かせてくれる。

クサレポイント

ジャーマンメタルらしいメロディではなく、かといってアメリカンハードロックではないメロディ。ストレートなハードロックの中にアラビア音階を聞かせたりと実にユニークなバンドだ。




MARCHELLO / Destiny / 1989

オジーのバンドのギタリストとしてオーディションを受け、最後の最後にZakk Wyldeにその座を渡してしまうことになったギタリスト、Gene Marchelloが立ち上げたバンド。この時点で彼は19歳なのだが、たしかに凄いギターを聞かせてくれる。早弾きもあるが、アームを巧みに使い、いろいろな表情のサウンドを作り出しているのだ。タイトルトラックの"Destiny"は弾きまくるギターにツボを押さえたメロディ、厚いコーラスと、ストレートで痛快なハードロックがこれでもかと展開される名曲だ。MTVでは"First Love"が話題となった。

クサレポイント

オヤジさんはニューヨークのロックバンド、ネズミのジャケで知られるGOOD RATSのメンバーだった人たが、GOOD RATSを再結成させてGene Marchelloをギターに、さらに息子のStefan Marchelloをドラムスに加えてファミリーな活動を続けている。