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TOKYO BLADE / No Remorse / 1989

ブレイクした2ndアルバム"Night Of The Blade"以降は、作品も活動も的を絞りきれていない感のあったTOKYO BLADEの5作目のアルバム。オリジナルメンバーはAndy Boultonのみとなり、前作ではAndy Boulton's TOKYO BLADEと名乗っていた。このシャレたジャケットは飾っておきたいが、メタルは想起させないし、これじゃ内容もひよっとしてハードロックじゃなくなってるかも、という心配をよそに、本作は期待しなかった分驚かされる、英国の薫り高き堂々のオトナのハードロックなのだ。"Chains Of Love"のような、ハモンドのバッキングが効いている曲は無条件に合格! Andy Boultonが泣き泣きのギターを聞かせてくれる。全曲グレイト、ではないし、かつてのTOKYO BLADEの音ではないが、これはこれで安心して聞けるアルバムだ。

クサレポイント

本作のボーカルはAlanでもVicでもなくて、元KIN PING MEH(渋い!)のMichael Pozz。クセのある声質だが、この人のスピリットも曲によく表れている。



TANGIER / Four Winds / 1989

良心的な、コマーシャルではないアメリカンハードロック。Bill Mattsonが真夜中の駅のプラットフォームでFREEの"All Right Now"を大声で歌っていて、そのパワーと表現力がバンド創始者のDoug Gordonの耳に止まりバンドが結成された。実に玄人ウケしそうな、ストレートでカッコよいノリのアルバムだ。泥臭い雰囲気と伸びやかなギターソロが印象的で、ドライヴのお供にオススメな一枚。デビュー作にしてこれだけの存在感があり、リラックスしてるのにカッコよいブルーズ、ってのが実にうらやましい人たちだ。

クサレポイント

しかし残念なことにBillは本作のみで脱退。こういうバンドは長続きして欲しかったのに、ボーカリストを変えてもう一枚アルバムを残して解散してしまった。



SHOUT / In Your Face / 1989

格好は派手ながら、けっこうトシをとっている人たちのバンド。元JOSHUAのギタリスト、Ken Tamplinのほぼプロジェクト的なバンドとしてスタートして2ndアルバムとなる作品だ。デビュー作がポップなイメージであったのに対して本作は正統派ハードロック路線をひた走る内容となっていて、メロディック派にはガッツポーズものの仕上がりだ。ギタリストとしてだけでなく、ボーカリストとしてのKen Tamplinの実力が発揮された作品。タイトルチューンはゲストギタリストのMarty Friedman、Lanny Cordola、Michael Angelo、Joey Price、Randy Hansen(これまた渋い!)らとともに、数秒おきにギターソロを繰り返すというエゲつない曲だ。

クサレポイント

結局バンドは本作リリース後に解散、Ken TamplinはDEEP PURPLEからACCEPTに至るまで、さまざまなバンドからバンド加入の話を持ちかけられるも全て断って、ソロアルバムやプロジェクトアルバムを作り続ける道を進んでる。




THE WILD / S.T. / 1983

針が飛んだのかと思うくらい長いオープニングのジャカジャカ〜ンのあとはもう、ジャケットどおりに音もなにもかもヒドい世界が待っている。グラムロック基調のルーズなハードロック、裏ジャケの「全てのヘッドバンガーズに捧ぐ」の文字にはカンベンして欲しいと思う音だ。ピクチャーディスクだが、写真のある側には溝はない。つまり片面のみの収録で全4曲なのだが、これでも十分なくらい濃い内容。もたもたとしたドラムス、歌っているのか叫んでいるのかわからないボーカル、なにも印象に残らない楽曲などなど、まさに恐いもの知らずの精神でリリースされたであろう作品。といっても嫌いじゃない。むしろ「ロックが好きなんだ」って気持ちはよく伝わるのだ。ここまで能天気だと逆に癒しにさえ思えてくる(^^ゞ。

クサレポイント

メンバーのみなさんはこんな人たち。メイクの時間を練習に回すことを考えない人たちでもある(笑)。