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TAROT / Spell Of Iron / 1986

ZacharyとMarcoのHietala兄弟が興したフィンランドのバンド。プログレチックなイメージのある人たちだが、ブルース・ディッキンソンを想起させるボーカルスタイルや疾走系の曲調など、デビュー当時はもっとストレートでNWOBHMっぽいバンドだった。1stアルバムである本作でそれが分かるのだが、ストレートといってもキメで細かな変拍子を取り入れているリズム隊には、後の姿を伺い知ることが出来る。本作では後々も彼らのアンセムとなる"Wings Of Darkness"や"Spell Of Iron"がオススメ。このあとフィンランドでビッグネームとなったのち、3rdアルバムあたりから日本でも知られるようになった。

クサレポイント

歯並びが良すぎて恐いボーカルのMarco HietalaはNIGHTWISHに加入、けれどTAROTも同時進行させているようだ。



BARAKADE / Volume 1 / 1995

1995年のリリースと、ここで紹介するバンドとしては新し過ぎるのが気になるが(笑)、良い作品なので取り上げた。バンド名からしてパワーメタルっぽいのかと思いきや、良質なメロディアスハードで驚きの一枚。チープな音質はさておいて、80年代のSURVIVORやNIGHTRANGERあたりのアメリカンハードロックのニオイをプンプンふりまいていて、良い意味で95年リリースという感じがしない。"I Still Dream Of You"や"So In Love"などのバラードは掘り出し物の素晴らしさ。

クサレポイント

アンガールズの左の人にちょっぴり似ている(^^ゞ、バンド創始者のDrew Barretはソロで活動中だ。



BB STEAL / On The Edge / 1990

Page119で紹介したオーストラリアのBOSSに在籍していたボーカルのCraig Csongrady とギターのKevin PrattがBOSS解散後に結成したバンド。ドラムスのJames YoungはAC/DCのYoung兄弟の甥。デモテープが縁でDEF LEPPARDのPhil Collenと出会い、彼のプロデュース、ゲストとしてギターとコーラスでの参加と全面的バックアップでリリースされたデビュー作が本作だ。彼一人の存在が結果的にそうなったとは考え難いが、とにかく音が"Hysteria"リリース当時のDEF LEPPARDに似すぎていて、当時はそればかり話題になっただけて埋もれてしまった作品だが、後々に評価されるだろう高水準な演奏は今聞いても色褪せていない。

クサレポイント

とにかく全編DEF LEPPARDの"Hysteria"の世界が展開される作品で、なかにはもう"Animal"や"Hysteria"にしか聞えないニヤリものの曲もある。




RADIO MOSCOW / World Service / 1991

DIAMOND HEADのBrian Tatlerが興したバンドだが、2ndアルバムとなる本作リリース時には彼は脱退している。彼に代わり1987年にバンドに加入したのはPage7で紹介したKARRIERのギタリストだったTim Manford。ボーカルもこれまたPage34で紹介したSLOWBURNERのPaul Bridgewater、と蔵出しの面々で本作リリース時のRADIO MOSCOWは活動(笑)。余裕のオトナなハードロックを聞かせる作品で、ブルージーな雰囲気も醸し出し、NWOBHMの影は感じさせないが、ブリティッシュロックのもつ湿り気はしっかりと保っている。

クサレポイント

本作にはBrian Tatlerのマテリアルが多く、もともとは彼のギターでレコーディングされていた音源だったようだが、Tim Manfordが全てギターソロを録り直したそうだ。確かにギターソロはなんだか浮いたように聞える。