Page 194


KRYST THE CONQUEROR / Deliver Us From Evil / 1989

Kryst The Conqueror、Doyle、The Murp、Mo The Greatというヘンテコな名前のメンバーからなるバンドが残した5曲入りのミニアルバム。クサレでカルトなニオイをプンプンさせつつもリズムがしっかりしていて聞き応えのあるパワーメタルだ。伸びやかで逞しいボーカルスタイルが荒々しいリズムに見事にマッチしている。

クサレポイント

実はいろいろな事情があって結果的に覆面バンドとなっているが、ボーカルはJeff Scott Soto、ギターとベースはMISFITSのPaulとJerryのCaiafa兄弟なのだ。ブルース・ディッキンソンを意識したかのようなJeffのボーカルが素晴らしい。



SAVATAGE / Fight For The Rock / 1986

学生のころアメリカに行った事があるが、その当時、西海岸にあるメタル系のレコード屋のほとんどがポスターをデカデカと飾り、このSAVATAGEのアルバムを大プッシュしていたのを思い出す。それは1985年にリリースした"Power Of The Night"アルバムが、拳を写したジャケットのイメージそのままにストレートでヘヴィなパワーメタルであり、アメリカのキッズのハートをガッチリとつかんでいたからだ。そのアルバムの次作となった本作はややメロウな部分を見せた点で物足りなさを語らせる結果となったが、マイナーコードを巧みに畳み込む隠れダークなコード進行など、聞き込めばアジのあるアルバムである。この後のアルバム以降、世界的な成功と若くして世を去った才能あるなギタリストについては皆の知る通りである。バンドはいまも活動中

クサレポイント

本作に収録の2曲のカバーのうち、BADFINGERの"Day After Day"は原曲に忠実に、でもしっかりと憂いを感じさせる出来栄えなのだ。残る1曲、"Wishing Well"も堅い出来上がり。



BLUE BLUD / The Big Noise / 1989

NWOBHM期に活動していたTRESPASSは日本人の琴線に響くメロディが印象的なバンドだったが間もなく解散。そのTRESPASSの中心メンバーだったMark、PaulのSutcliffe兄弟とDave Crawteが1986年にTREPASS再結成を画策し、そのままこのBLUE BLUDの結成へとつながった。TRESPASS時代のあまりにストレートでクサいメロディを想像して聞くと、本作で聞かせるアメリカンハードロックのようなメインストリームでゴージャスな音作りには少々戸惑うが、本質的な英国的な「湿り気」は十分に保っている。ギターでもボーカルでも、しっかりと「泣き」のパートを聞かせてくれる、いいアルバムだ。

クサレポイント

"Don't Turn Out The Light"の震えて揺れるメロディとコーラスが素晴らしい。このあたりのメロディはやはり英国産の証だといえるのだ。




BLUE BLOOD / Universal Language / 1991

2ndアルバムにしてラスト作。細かい変更だけれど、バンド名の一部が「BLUD」から「BLOOD」へ変わっている。時代の要請なのだろうか、前作よりもグルーヴィーでアメリカンハードロック色が濃くなった作品。それでもシングルカットとなった"Say A Prayer"で聞くことのできるメロディは湿り気たっぷりで、そりゃ身に染み付いたメロディから脱却できるはずはないだろう。でもどちらかというと前作の方がオススメ。

クサレポイント

本作リリース後しばらくして起こったNWOBHM再評価のムーヴメントにあわせるように3人はTRESPASSを再結成させ、現在も活動中だ。