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HAVOC / Father Jones / 1992

無名なバンドだけど、テクニカルながら聞き手に過剰にアピールしない演奏陣などは好感が持てる。低予算を匂わせる音質は決して良い音ではないが、耳を刺激する、Y&Tタイプの80年代型ハードロックのグルーヴ感を保っているのはなかなかのもの。そこにプログレメタルな要素がうまくミックスされているのがこのバンドの特徴だろう。"Easy Living"は曲の構成とギターのアイデアが素晴らしい。

クサレポイント

ギタリストはローカルなバンドで活動中だが、他には目立った活動も続けず、アルバムもこの一枚だけだったようだ。



FASTWAY / Bad Bad Girls / 1990

FASTWAYはEddie ClarkeとPete Wayが興したバンドで、Pete脱退後にデビュー、リードボーカルは英国魂を継承する実力を持っていたDave Kingだった。だからデビュー当時のメンバーがホントのFASTWAYだと思うのだが、本作はEddie以外のメンバーは一新され、フロントマンとしてLea Hartを置いたFASTWAYであり、結局はラストアルバムとなってしまう作品。初期の軽快なロックンロール色はそのままながら、アメリカンロック調になってしまったサウンドには、英国ブギーな色合いは退行している。もちろん一作品としての水準は低いものではなく、AC/DCをもっとアメリカンハードロックに仕上げた感じ。

クサレポイント

Lea HartはポップバンドのROLL UPSのボーカリストだった人。曲に合わせて器用に歌いこなせるタイプで、NWOBHMもののプロジェクトには必ず顔を出している。




PAUL RAYMOND PROJECT / Under The Rising Sun / 1989

UFOでレイザービームのようなキーボードを聞かせていたのに、Pete Wayからは「UFOにキーボードの音はそんなに重要じゃない」といわれてしまったこともあるPaul Raymond。彼が日本の下北沢に住んでいたときにレコーディングされたプロジェクトバンドの作品。ボーカルはANGELのFrank Di Mino、ギターは大谷令文、ベースは山下昌良、ゲストに中間秀明という、ジャパメタの視点では豪華な布陣。キラリと光るメロディは"Rising Sun"で聞かれるEUROPEみたいな(笑)サビなどに隠されている。ラストの"Shimo Kitazawa"はオフザケ。

クサレポイント

キーボードとギター、どちらが本業かわからないプレイヤーだが、シェンカーを怒らせてしまったりとさんざんな感じの人。その後どうしたんだろうと思いきや、Vinnie Moore、Pete Way、Phil Mogg、Jason Bonham、Paul RaymondのオドロキのメンバーでUFOを再興させたりした。



GRINDER / The 1st EP / 1990

ドイツのスラッシュ。しかしやはりメロディがどこかひねくれていて良い意味でヘンテコ。唐突にクリーントーンになるギターや、はき捨てっぽくなってきたと思いきやジャーマンメタルなスタイルに戻ったりするボーカルなど、ユニークな曲作りがされている。音の交通整理がきっちりとされながらもスラッシュの醍醐味をキープし、ヘヴィでありスピードがあるなどメリハリを効かせている点で、単なる雑音となりがちな凡スラッシュとは一線を画しているといえる。

クサレポイント

バンドは1991年にCAPRICORNと改名、パワーメタル路線でアルバムを残した。ドラムスのStefan Alnordは後にGRAVE DIGGERでプレイ。