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JAVAN / Somewhere In The Night / 1991

哀愁度の高いメロディが大いにリスナーの琴線をくすぐる優秀なメロディックハード。ドイツのバンドだが、楽曲には北欧あたりのバンドの持つ透明感を漂わせており、ツインリード構成のギターはリフにしてもソロにしても欧州大陸型の泣きのメロディを聞かせてくれる。クリーンなトーンとハードなトーンを織り交ぜたり、クラシカルな旋律をまぶしたりと聞き手をひきつける工夫も見事だ。

クサレポイント

リリース当時に話題になり、メロハー通は一度は耳にしたことがあるだろう作品。その後が続かなかったのが実に残念。男臭いボーカルを聞かせていたBernd MartinはGOTTFRIEDなるバンドで活動中。



BLACK SPOT / Flaps Down / 1989

実に不思議なサウンドだ。Steve Harrisがイギリスのパンクバンドに入ってMOTORHEADをカバーしてみたら、これはMETALLICAの覆面バンドか、との評判を得てしまいました、みたいな音(笑)。パンクスタイルのボーカルとコーラスはどうしても気になるけど、音は意外と太くてメタルなグルーヴ感は十分あるからノリは悪くない。"Black Winter"で聞かせる混沌とした世界は単なる悪ガキメタルではないことを感じさせる。

クサレポイント

やはりルーツなんだろう、MOTORHEADの"Go To Hell"をソツなくカバー。この曲を選ぶシブさには拍手。




HELLION / The Black Book / 1990

Page130で紹介したHELLIONが残した名作。HELLION結成以前はRUNNAWAYSのセッション・キーボード奏者でもあったAnn Boleynが本作で聞かせるノドは実に逞しい。"Breakdown"〜"The Black Book"と続く流れは彼女のボーカルもさることながら曲そのものの勢いまでもカンペキなディオスタイルであり、大音量ガッツポーズな幕開けなのだ。本作はAnnの発想による、スコットランドの小さな村を舞台にしたミステリーのコンセプトアルバムとなっていて、ラストはZEPPELINの"Immigrant Song"のカバーで締めくくられている。効果的なSEやシアトリカルなAnnのボーカルスタイルなど、リキの入れようが凄まじいアルバムだ。

クサレポイント

当時のHELLIONは目まぐるしくメンバーが変わったが本作がラストアルバムとなってしまった。2000年になってAnnはふたたびバンドを建て直し。



SKULL / No Bone About Skull / 1991

Bruce Kulickの兄貴であり、KISSのギターがAceじゃなかったら彼だった、ともいわれたBob Kulickがイニシアティヴをとるバンド。このSKULLは彼がかつて率いていた、キンキラキンのつなぎの衣装が印象的だったハードロックバンド、BALANCEの歴史の延長線上にある。彼の容姿からバンド名を決めたかは定かでないが(笑)、SKULLの音楽は実に真っ正直でギミックのない、ストレートなもの。"Breaking The Chains"や"Living On The Edge"で聞かせるリズムのカッコよさなど、本作に込められたメロディはVAN HALENあたりのアメリカのバンドのニオイを感じるのだ。

クサレポイント

当時のリリース元が倒産してオクラ入り寸前だった作品だが、何とか英国のMusic For Nationsからのリリースにこぎつけられた。クオリティは高く、世に出て正解の一作だ。