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THOMAS VIKSTROM / If I Could Fly / 1993

TALK OF THE TOWN〜CANDLEMASSとフロントマンを務めた、スウェーデン屈指のノドの持ち主のソロアルバム。岩の上でオベーションを構える、というジャケットのとおり、本作はハードロック路線から少し外れ、レイドバックしたアコースティックな曲を中心とした作品となっている。ゆっくりしたテンポとメロディックでハートウォームな彼の声質は、お疲れ気味の心にはもってこいなのだ。Marcel JacobやJeff Scott Sotoがゲスト参加でアルバムを盛り上げている。

クサレポイント

"Into The Fire"はメロディックハードの佳作。TALK OF THE TOWNの"Fly Like An Eagle"を意識したかのような力強さとブ厚いコーラス、一発で覚えられるメロディが強烈な、絶対的にオススメの一曲。



JAMES BYRD'S ATLANTIS RISING / S.T. / 1990

FIFTH ANGELの1stアルバムで、メロディとパワーを兼ね備えた、テンションの高いギターソロを聞かせたJames Byrdが結成したバンド。FIFTH ANGELに比べ、緊張感がやや足りない気がするのと、曲の出来の良し悪しがはっきりしているのは気になるが、メロディの覚えやすさ、親しみやすさは素晴らしいものがある。そこに絡むギターはもちろんツボを押さえた流麗なものなのだ。元FIFTH ANGELで渡り鳥ドラマーなKen Maryと、元TKOのベーシストEvan Sheeleyのプレイも実に堅い。

クサレポイント

しかしボーカルのFreddy Kruminsのノドは少しユニークだ。Don DokkenのノドにTRANCEのLothar Antoniのノドを移植したかのような声質。ヘタウマっぽくで嫌いなタイプじゃないけど、次作以降、このバンドがインストオンリーの作品を残すことになるのもなんとなく理解できる(笑)。




PHANTOM / S.T. / 1991

前回紹介したPHANTOMの2ndアルバム。1stのリリース後に大幅にメンバーを変えてのアルバムだが、メロディアスな部分もあったりするパワーメタル、という基本路線は崩していない。ギターがザックザクと畳み掛けるリフが前面に出ているのは80年代型の正しいメタルを踏襲しているし、時折JUDAS PRIESTのロブを想起させるFalcon Eddieもパワーアップしていて心強い。ラストの"Straitjacket"は演奏力の高さを感じさせる、"Into The Arena"のようなインストナンバー

クサレポイント

ACCEPTのカバーでもなんでもないが"Metal Heart"(ライナーには"Heavy Metal Heart"の表記)という曲は、ミドルテンポなJUDAS PRIESTの世界をイメージさせる。アメリカのバンドなのに欧州の香りを感じさせるメロディラインなのだ。