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ROADMASTER / Live + 5 / 1988

1976年から1980年にかけて4枚のアルバムを残したアメリカのバンド。しばらくアルバムリリースがなかったが1988年になって8年ぶりのアルバムはライヴ音源7曲と新録5曲という構成の作品だった。いわゆる「産業ロック」(という表記はあまり好きではない)の分野の音だが、その音を聞かせる他のバンド同様に、時に明るく時にメロウなメロディを聞かせてくれる。STYXをもっとポップにしたようなこのタイプの音を、ゴリゴリハードなバンドばかり聞いたあとに聞くと、二日酔いの朝に梅昆布茶を飲むが如く、体のすみずみにそのやさしさが染み渡るような感覚をおぼえる。

クサレポイント

初期には後にWASPやL.A.GUNSのメンバーとなるStephen Rileyが在籍していた(趣向の違いに苦笑)バンド。本作以降また沈黙してしまったが、1998年にリードボーカルが亡くなっている。



PAGAN / S.T. / 1990

ミドルテンポが中心だが、野太いリフが印象的なギターとワイルドにボーカルがアルバム全体をキュッと引き締めており、聞き応えのある作品だ。ZEPの"Immigrant Song"カバーしているが、テンポをグッと落としてヘヴィーなアレンジにしているあたりのアイデアはお見事。続く"Anyway But Backwards"がコーラスワークが印象的なスピードチューンなのでさらに効果的。

クサレポイント

BISCAYAのミニアルバムに収録されていた"Greg's Song"もカバー。こういうマニアックさも嬉しいもんだ。




SKAGARACK / Hungry For A Game / 1988

Page26でデビュー作を紹介した、PULZEという名のバンドが母体となったデンマークのメロディアスハード。本作はTommy Hansenのプロデュース下で製作された2ndアルバムだが、リーダーのTorben Scmidtの才能の高さを感じさせる優れた楽曲が並ぶ名盤であり、「砂糖のロック」どころか、メロディの宝石箱のような作品だ。北欧くささや剛速球なメタルではないが、一度聞いただけでメロディが頭に残るというのは、メタルだろうがメロハーだろうがハードポップだろうが、それだけで名作、と言えるのではないだろうか。オープニングからの2曲、"Hungry For A Game"と"Joanna"は必聴ものなのだ。

クサレポイント

Torbenが素晴らしいボーカリストでもあることは歌を聞けばよく分かる。この後数枚のアルバムと自らのソロアルバムを残し、今はエンジニア、プロデューサーとして活躍中だ。