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MYTHRA / The Death & Destiny / 1980

7インチと12インチのシェイプが存在するNWOBHMでは名の知れた5人組。ストレートでワイルドな音作りは同じNWOBHMのHOLOCAUSTを想起させる。BUDGIEのBreadfanのようなリフを持つ"KIller"や、SCORPIONSのHe's A Woman〜"のようなイントロで幕を開けるU.F.O.などが印象的。キメのところでバィ〜ン!と膨らんで鳴るギターの音にNWOBHMのニオイがプンプンしている。不器用でもいい、俺が弾きたいメロディはこれなんだ、と叫んでいるかのごとき音を張り上げるギターはホントに熱い。

クサレポイント

ギターのJohn Roachは脱退しFISTへ加入。残されたメンバーはメンバーチェンジを図り1stフルレンスアルバムの音源を残したがリリースされずにバンドは終わってしまった。最近になってそれらのお蔵入り音源がCDでリリースされているので、生々しいNWOBHMの音に触れてみたい人にはオススメだ。



RED DAWN / Never Say Surrender / 1993

RAINBOW史上ナンバー1なキーボード奏者、David Rosenthalが初めてイニシアティヴをとったバンド。とにかくアメリカン産業ロックの良い部分のエキスをふんだんにまぶした、聞きやすいハードロックという点で実に秀逸な作品だ。初めて聞くけど初めてじゃないメロディがつまっていて、一度で覚えられる。それでいて甘すぎず、プロ野球の好プレーのBGMに使えそうなドライヴ感満点の曲はなんとも痛快だ。それを一番に感じられる"Liar"が特にオススメ。

クサレポイント

Greg SmithとChuck Burgiのリズム隊も強烈だが、ボーカルのLarry Baudの逞しい声質がこのバンドに良くあっている。本作は日本で先行リリースされ話題となった。




THE SCREAM / Let It Scream / 1991

MOTLEY CRUE系の悪ガキ的なアメリカンハードだが、Ray GillenとJeff Martinがバックコーラスで参加してたり、元SHARK ISLANDのWalt Woodward IIIや元RACER XのBruce BouilletとJohn Aldereteがメンバーとして名を連ねてたりと、実力は折り紙つきなバンドだ。かつて在籍したバンドを思いつつ聞くと面食らうような、ハッピーハッピーな曲もあるけど、オープニングの"Outlaw"で聞かせる、ドシッドシッ、とにじり寄るようなグルーヴや、"Man In The Moon"のようにLED ZEPPELIN丸出しの曲を聞かせるところなど、このテのバンドには珍しい重量感を持っているのだ。


クサレポイント

当時まだ無名だったボーカルのJohn Corabiは本作で ある程度の評判を呼び、その後脱退して大出世、MOTLEY CRUEに加入を果たした。