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VETO / S.T. / 1986

Page 123で紹介したドイツの鋼鉄メタルが残したデビュー作。Scratchレーベルにおいても名曲の部類に入るオープニングチューン"Veto"に代表されるように、彼らは絵に描いたようなドカスカな鋼鉄ぶりを示してくれてて、これ以上もこれ以下も望んでいない、期待通りの音が詰まっている。"Ultimatun"のようなドラマチックな展開の曲がこれまたカッコよろしい。器用貧乏なストレートで劇的なパワーメタルを聞かせるバンドって、最近見かけなくなったなぁ。

クサレポイント

ブルルン誌でも紹介されたりして、日本でも名前は知られた存在だった。ややテンションがさがった2ndリリースの後に消えていったのがなんとも残念。



STILLBORN / State Of Disconnection / 1992

ドゥーミーな雰囲気とスラッシーな雰囲気とが同居する、ユニークなメタルだ。いや、ユニークというのとはまた違った印象があるのは、ギターのリフがなんともダークなメロディラインのせいだろうか。90年代メタリカの世界も感じさせる。"Constant Companion"は節々に80年代のメタルをにおわせながら突っ走る佳曲、"A Wonderful Time"のダークでドゥーミーなノリは、気分が落ち込んでいるときに聞くとますます落ち込んでしまえるものだ(笑)。

クサレポイント

前半は淡々と過ぎてしまう感があるが、後半のプログレ的な盛り上がりは素晴らしい。前述の"Constant Companion"以降は独特の世界観も感じられる。ラストにはピアノまでフューチャー、70年代HRのワビサビを心得た曲になっている。根気よく最後まで聞くべし。




SKRAPP METTLE / Sensitive / 1991

「北米の製鉄工場跡で一発録りでレコーディングされた作品」として、BeefだのSpunkだの、ふざけた名前のメンバーが集まってリリースされた唯一の作品。いわゆる覆面バンドだけど、ボーカルは覆面バンドではおなじみのJeff Scott Sotoのようだ。リリースについてはおふざけが過ぎるが、内容はBAD NEWSみたいに悪くはない。そこそこの実力者が集まっている音であり、チープな音も含めて古きよき80年代のアメリカンHM/HRが楽しめる。

クサレポイント

"Retire Or Die"はWHITESNAKEを想起させる泣きのバラード。企画バンドだからこそ、肩の力を抜いて出来る佳曲なのだ。