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TANK / Honour & Blood / 1984

Algy WardとBrabbs兄弟が興した3ピースなバンドであり、「激烈リフ軍団」なる見事な邦題を与えられたデビューアルバム"Filth Hounds Of Hades"は今も昔も名作の誉れ高い作品。後期になってBrabbs兄弟が抜け、相前後してCliff Evans、Mick Tucker、Graham Crallanといった人たちが加入して4人組になったが、4thアルバムとなる本作はそんな後期TANKの大傑作であると思う。思わせぶりなSEに導かれて始まるのは、とにかくリフの嵐。首を振りつつしかしよく聞くと、ギターのメロディがこれまた涙を誘う英国印の湿り気を十二分に帯びている。前期のような猪突猛進ハードロックを勢いはそのままに熟成させたような味わいだ。曲間のブランクがほとんどないアルバム構成もニクい。1〜2曲の流れは今聞いても鳥肌ものなのである。

クサレポイント
「血まみれの栄光」という、これまた素晴らしい邦題のもと日本でもリリースされ、当時私もハマりにハマったアルバムだ。Algyの声そのものがTANKであり、この逞しい歌声ですぐにTANKと分かるのだ。バンドはいまも活動中




WATCHTOWER / Control And Resistance / 1989

テクニカルスラッシュというには、かなり難解な曲構成であり、プログレのエッセンスも感じられる作品。とにかくメンバーのテクニックがエゲつなく凄くって、さらりと聞き流すことも出来ずに、あまりにも強烈で正直とても疲れる作品である。これでライヴをしていたのかと思うと、このバンドリズム感って、エゲつない状態でメンバー全員の息が合ってることになるんだろうか、てなことを考えてしまう。バカテクに裏打ちされた独特な世界が濃厚な作品だが、ドラムの疾走感はメタルそのものだ。ボーカルはご愛嬌の素っ頓狂タイプで一安心(笑)。

クサレポイント

ギターのRon JarzombekはS.A.SLAYERのギターだった人。S.A.SLAYERはのちにRIOTに加入するDon Van Stavernもメンバーだったバンドだ。WATCHTOWERの後に弟であるBobby JarzombekやPete Perezとレコーディングするなど、RIOTの周辺でよく名を聞くギタリストなのだ。




O.S.T. / Demons / 1986

O.S.T.とはOriginal Sound Trackのことで、つまりサントラ盤である。イタリアのホラー映画が世界的に流行った時期の、ほとんど終末期に出てきたホラー映画が「デモンズ」だった。強烈なスプラッター映画で、実はこのテの映画が好きだった当時、映画館で見て、サントラにメタルのアーティストが使われていたのがちょっとしたオドロキだった。映画ではMOTLEY CRUEやSCORPIONSも使われていたが、サントラ盤にはSAXONの"Everybody Up"、PRETTY MAIDSの"Night Danger"、ACCEPTの"Fast As A Shark"が収められ、その他にはこれまたイタリアホラーのサントラに欠かせない、クラウディオ・シモネッティのキーボードインストが収められている。

クサレポイント

PRETTY MAIDSの"Night Danger"は1stアルバムB面の曲だが、アルバムではさらっと聞き流していたけど、映画で見て、ああ、これってこんなにカッコいい曲だったんだ!と再発見な曲なのである。