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WIRELESS / Positively Human Relativery Sane / 1979

オーストラリアのAUTUMNのメンバーがカナダに渡り新たに加わったバンド。本作はRUSHやMAX WEBSTERでおなじみのAnthem Recordsからリリースされた2ndアルバムだが、ドロ臭い70年代のハードロックと、来るべき80年代を予見した軽快なリズムとがマッチした快作である。とにかくツインリードのメロディが70年代のブリティッシュハードの影をいやというほど引きずっているのが実に素晴らしい。泣くときも走るときも、いつでも一緒といった感じなのだ。翌年に3rdアルバムをリリースして消えていったのが惜しい。一曲だけ素っ頓狂なファンキー曲があるけどそれはご愛嬌。

クサレポイント
ブルーズを基調としたリズム隊のヘヴィさも魅力。ドイツのEPITAPHをもっと洗練させたようなバンドだ。




JAILHOUSE / Alive In A Mad World / 1989

2枚のアルバムを残してPaul Shortinoが去ってしまったROUGHT CUTTのメンバー、Amir Derakh, Matt Thorr, Dave Alfordが新たに興したバンドのデビュー作。デビューがライブ・ミニアルバムであったのはインパクトがあったが、とにかく明るくて裏表のないサウンドは、よく言えば理屈抜きで楽しめるし、悪く言えば何にも残らない。粗探しをする気はないけど、フックのないメロディは辛いのだ。しかしながらバラードの"Stand Up"は心に残る曲、これだけでも収穫と思うべきだろう。

クサレポイント

このバンド名ゆえのカバー曲"Jailbreak"はもちろんTHIN LIZZYの曲だけど、BON JOVIといい、やっぱりアメリカ人がTHIN LIZZYを演るとスカスカになってしまうのだ。




VENOM / At War With Satan / 1983

VENOMといえば"Black Metal"アルバムを推すべきではあるが、私が初めて聞いたVENOMが本作であるので、彼らにしては地味なアルバムながら、いまだにこちらが印象深い。玄関で風邪ひいたカエルが叫んでいるような、フランジャーのかかったクロノスのベースに鼻血を出したことと、リズムが正確なのか狂っているのかわからないアバドンのリズムに目まいを覚えたことがつい昨日の事のようである(笑)。ヘッドフォンだと、右からヴェ〜ッ、左からヴェ〜ッ、とクロノスが雄たけびを上げる気持ち悪さをゾゾゾ〜ッと堪能できる作品でもある。

クサレポイント

なんといっても一番強烈だったのは本作ラストの"Aaaaargghh"。危ない言葉連発以外の歌詞は、とにかく「ア゛〜〜〜!」。こういうのもありなんだと目からウロコな高校生でありました(笑)。