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LEGEND / Death In The Nursery / 1982

スタジオライヴ的な、一発録りな音が素晴らしいアルバム。"Warrior"みたいにイントロだけカッコいい曲があるってのはこのテのバンドにはお約束なこと。荒削りで不器用ながらハマってしまうとその呪縛からはなかなか逃れられない音からしてもNWOBHMのバンドとして認知されているが、やはり70年代のブリティッシュロックフレイバーを振り撒いている。このバンドはきっとブリティッシュ魂あふれる根性あるバンドだったんだろうと思わせる一枚。NWOBHM信者はアナログ盤で必携。

クサレポイント

B面1曲目は"Anthrax Attack"。これって「炭疽菌攻撃」ってことで、再結成したってアメリカじゃ演奏できない曲だわ(^^ゞ



AUGUST REDMOON / Fools Are Never Alone / 1982

Page29で紹介したEDENのボーカリスト、Michael Henryの初期キャリアがこのバンドだった。ベースの音がペンペンし過ぎているために全体的に軽い音になってしまったのが残念だが、曲そのもの小気味よいハードロックが展開されている。ギター氏の頑張りのおかげでNWOBHMのニオイもかすかに感じ取れる。

クサレポイント

Michel Henryは巧いボーカリストだった。後々のキャリアでボーカリストとしての力量が上達していったのがよく分かるのだが、さすがにこの作品では気負いすぎというか、荒々しさが前面に出すぎてしまっている感がある。でも実はこのアルバムでのボーカルスタイルもまた彼のアジなのである。



LAST DESCENDANTS / One Nation Under God / 1988

カッコいいジャケにカッコいいアルバムタイトルだが字のフォントが気に入らないアメリカのテクニカルスラッシュ。ベイエリア出身でスラッシュ、といってもクランチ型のザクザクなリフではなく、難解すぎない程度のテクニカルメタルが基本で、ドイツのSPVに拾われたのが納得の欧州型メタルだ。

クサレポイント

プロデュースがRalf Hubertであるので良くも悪くも彼の世界に浸かっているなという印象。メンバーの力量はかなりのものだ。



THRUST / Fist Held High / 1984

Page23でジョイントライヴアルバムを紹介したバンドのデビュー作にして唯一のアルバム。ギターのリフとコード進行はNWOBHMを手本にしたことがすぐ分かる。シカゴのIRON MAIDENと呼ばれた割にはアルバムはつまらない。ライヴバンドだったといえばカッコ良いのだが。

クサレポイント

アルバム用にと作られた曲が実はつまらないってことがこのバンドの欠点でありチャームポイントでもあった。メンバーの演奏テクがそこそこ良かったことは先のライヴアルバムで実証済みだ。



GREIFENHAGEN / Only For The Night / 1984

ドイツのバンドだと思っていたが実はスウェーデン、てのは間違いでノルウェーのバンドだった、と思っていたらホントはオーストリア出身だったバンド。でいったいどこの人たちなんだろう。さて、肝心の音のほうだが、若々しく吼えるボーカルにメロディアスなキーボードが絡みつく展開や、サックスの音を取り入た曲もあるなどかなりユニークなメタルを聞かせてくれる。ギターのリフもメロディアスかつ硬質で良い仕事をしている。当時はPRETTY MAIDSとよく比較されたのも何となく理解できる。

クサレポイント

メインストリームなメジャーコード多用型の曲、パワフルに迫るメタルな曲などバリエーションは豊富。いまひとつ的が絞りきれていない気もするが、アルバムとしては飽きのこない出来栄えだ。顔がそっくりなキーボードとドラムスは兄弟のようだ。しかし、大事なことだかバンド名は何て読むんだろう(笑)。