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IRON FIST / Hooked On Rock / 1985

サブタイトルが"Featuring 50 Rock Classics"であることで察しがつくだろうが、ハードロックの名曲のサビだけを自分たちで演奏してつなぎあわせた、「演歌チャンチャカチャン」ならぬ「ハードロックチャンチャカチャン」なのである。英語の訛りがひどいことでもすぐに分かるが、ドイツのバンドである。「スモ〜ク、オン、ダ、ウォダ〜」てな感じ。ドイツRCAからのリリースなのに音が悪いのも苦笑もの。IRON FISTというバンドの作品としてリリースされているが、どうやらBobby LouwとJethro Butowのプロジェクトの作品のようだ。彼らはほかにもロック・クラッシックのメドレー作品を残している。
クサレポイント

THE WHOからFOCUS、JIMI HENDRIX、SURVIVORやASIAあたりの曲までもカバーしている節操のなさが嬉しい。後にHEAVYSのMetal MarathonやNIGHT HAWKSのThe Whoozeなどでも同じノリの作品が楽しめるが、記憶するかぎりこのIRON FISTがこのテの企画の元祖だったと思う。ジャ ケ買いの点からも必需品。



BENGAL TIGERS / Metal Fetish / 1984

ベンガル、といっても東京乾電池ではない。骨太なメタルを聞かせてくれる4人組。5曲入りのデビューミニアルバムでメタルといっても軽く70年代を引きずった音作り、このテの音に弱い私には嬉しい作品だ。NWOBHMの影響を受けたアメリカのバンドといった感じの曲作りだが実はオーストラリアのバンド。アルバムリリースは英国からだった。
クサレポイント

ピュアなハードロックのお手本のような曲、"Got To Deliver"が良いデキだ。音が悪い、古いなど気にする人は聞くことが出来ない作品でもある。



SWORD / Metalized / 1986

どこのレビューでもたいてい絶賛されているバンドのデビュー作。私もその例に漏れず、本作は80年代メタルのなかでも十指に入るだろうと思う。"Stoned Again"をラジオで聞いたときの衝撃は昨日のことのように覚えている。ミドルテンポの曲でここまでハマってしまったのは当時他になかったからだ。レコード店で探しまくった作品である。このあともう一枚アルバムをリリースして解散。ボーカルはSAINTS & SINNERSを結成した。

クサレポイント

ボーカルのゾクゾクとする男臭さ、パワフルなドラムス、時にカミソリのようにソリッドであり時にスペイシーでもあるギター、それらの武器が一堂に会して楽曲となったときの無敵ぶり。鼻息がかかりそうなこのアルバムジャケットのイラストはともかく、内容は素晴らしいの一言に尽きる。次作でやや方向性が変わったのは残念だが、本作は捨て曲なしのマスターピースだ。



ENVY / Ain't It A Sin / 1987

男女2人ずつ(女性は姉妹のようだ)のアメリカのバンド。プロデュースはTWISTED SISTERのDee Sniderである。なんとも無愛想なジャケットだが、音は売れ線狙いのメロディックハードロック。BON JOVI、HEART、FOREIGNERなどなど、いくらでも元ネタが出てくるサウンドだ。このバンド名だから少しは期待したけどハズれてしまった。いやいやそれでもメロディック派にはオススメな一枚と言えるかも。

クサレポイント

ギタリストのGina Stileは元MADAM Xのドラムスティック女にクチビル女、RoxyとMaxineのPetrucci姉妹と合流、復活VIXENに加入してアルバムを残している。



TENSION / Breaking Point / 1986

オープニングからすごいハイテンションでリズムキープしている曲を畳み掛ける作品。手数の多いドラミング、チュルチュル弾きまくっているギター、ブリブリと喋るように唸るベースなどとにかく強烈だ。正統派とテクニカルとの間に位置するアメリカンメタル。お手本はIRON MAIDENあたりか。ギターのTimmy Meadowsは懐かしのANGELのPanky Meadowsの実弟だそうだ。

クサレポイント

このバンドは元々DUECEという名でボーカルのTom Gattisを中心に活動していた。HAWAII加入前のMarty Friedmanも在籍していたバンドだが、本作リリースにあたりTENSIONと改名。元のバンド名についてはインナースリーブでこのようにに取り扱った。