Page 78


KERN / ... Od Narozeni / 1990

東欧系のハードロックには西欧系のそれとはどこか違うクサいメロディを感じることが多々あるが、このバンドもその例に漏れない。基本となる部分では曲の組み立てや音の構成などは西欧のハードロックをお手本にしているけど、サビになると自分達にしみついたヘンテコでクセになるメロディが顔を出すのだ。全てチェコ語で歌われているのもそういう傾向を増長させている。てことで基本はメロディアス路線であって、決してクサクサパワーではないのだが、スラッと聞き流せないメロディが耳にひっかかることがこのバンドの魅力なんだろう。
クサレポイント

ツインリード編成のギターのメロディもどこか独特な雰囲気を醸し出している。でも十分に我々の琴線をくすぐってくれるから心配ご無用。彼らはこのあとも活動を続け、東欧では名の通ったバンドとなったようだ。



MORPHEUS / Metal Heart / 1985

う〜む、「めったるはー!」ですか。このタイトルは私らぐらいの年代のメタル愛好家には反則である・・・とはいってもこちらも1985年のリリースだったから仕方ないか。で内容はというとカルトな70年代型ハードロック、といった感じだが、ボーカルとベーシストの能力の低さが気になる。ボーカルは無理にダミ声を搾り出しているし、ベースは音数を欲張ってしまって弾けていないのが悲しい。
クサレポイント

全4曲のミニアルバムだがよく解釈すれば独創的でラストの曲などはハードロックの域を飛び出してそれなりに聞き応えある構成になっている。イタリアのバンドらしさもギターのセンスに表れていると思う。



METRALION / Quo Vadis / 1987

メタリオン、じゃなくてメトラリオン、なので注意。これまたスカスカなスラッシュで、この国の音楽には疎いが、ブラジルでこの時代にこれだけのスラッシュも珍しいんじゃなかろうか。パワー不足なドラムスが必死になってスネアを叩いている姿が眼に浮かぶ。ボーカルは普通の歌声で語尾だけ吐き捨てるという素人ワザを披露。

クサレポイント

ということで心にも耳にも残る曲は皆無だ。でも何故か捨てられないのが不思議。



REQUIEM / Via Crucis / 1990

バンド名は死者のためのミサ曲という意味だし、タイトルは「キリストが十字架を担って歩んだ姿を描写するカトリックの伝統的な祈り」を指すもので、宗教色が濃いテーマを背負ったバンドだ。一般にはドゥームメタルということになるんだろうけど、個人的に感じるのはイタリアには「オカルトメタル」とでもいえば良いのか、夜中に一人で聞くとトイレに行けなくなるような恐怖メタルがあるってことだ。この辺はかなり独創的な世界で巧い・ヘタというレベルでは語れない。このへんにどっぷりつかるとトイレにいけなくなってしまうだろうからさらっと聞いてしまうのが正解かも知れない(^^ゞ。

クサレポイント

ギターのファズな音がとても60〜70年代チックで魅力的。やはりBLACK SABBATHからの影響は感じられる。



PLATINA / S.T. / 1985

ブラジルでは名の通ったミュージシャン、Andria BusicとIvan Busicの兄弟の若き日の音源。全曲ポルトガル語で6曲入りのミニアルバム、勢いあまってジャケットもいい加減なままリリースしてしまいました的な作品ではあるが、演奏力の高さはさすがで全曲とも飽きが来ない。IRON MAIDENをもっとポップにすればこんな音になるのだろうか。とにかくベースがよく喋っている。

クサレポイント

このあと兄弟はCHEROKEE、A CHAVE DO SOL、THE KEYといったバンドを経て現在はDR.SINで活躍中。才能ある人は若い頃から良い作品を残しているという良い見本だ。