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MALISHA / Serve Your Savage Beast / 1986

Marty Friedmanが地元ハワイで結成したVIXENの紅一点ボーカルだったKim La Chance。彼女はバンドの方向性で意見が食い違いVIXENを脱退、1982年にこのMALISHAを結成した。元々はハワイの日系ミュージシャンを集めたバンドだったが後にL.A.に渡りメンバーを交代させたりしたようだ。ということでこの作品では彼女のほかにギタリストが4人(うち一人の名は"Rich Black"なので大爆笑)、ベーシストは2人でドラムスも2人、という大人数がクレジットされている。音はどちらかというと煮え切らないNWOBHM影響下のアメリカンメタル、といったところで、たいそうな宣伝文句のわりにいまいちピンとこない曲が続く。
クサレポイント

しかしこのジャケも情けないもんです。鳥に両腕を引っ張られてあら大変!てなとこでしょうか。



POSSESSED / Beyond The Gates / 1986

VENOMとSLAYERが結婚したかのようなスラッシュ。曲展開に独自の世界観を持ち込んではいるが、ここまで徹底的にスラッシュだと気持ちいいもんだ。ギターがかなりのテクを聞かせてくれるから聞く耳を持つことも忘れないように。リリースはUnder One Flag、このレーベルでないとこのアルバムはリリースできなかっただろう。プロデューサーは何を血迷ったのかRODSのドラマー、Carl Canedy。
クサレポイント

ジャケットはギミックカバーで広げるとこんな気持ちの悪い絵が飛び出てきます。



EXUMER / Possessed By Fire / 1986

これまた血管が引きちぎれそうなスラッシュメタルだが、低音も高音も歌えていないボーカルがヒドい。ヒドいといっても愛すべきヒドさで、それでもわが道を突き進むこの声に「アホやなぁこいつ」と頬が緩むヒドさなのである。賞賛に値するヒドさ。演奏そのものはなかなかであって、リズムを変えたりして工夫しているのがポイントだ。彼らなりのこだわりや「毒」みたいなものが十分伺える。ミドルテンポに変わる瞬間にはあのACCEPTの音が頭の中をよぎった。

クサレポイント

この作品はなんでもデジタル・リマスターされてCDリリースされているらしい。デジタル、です(^^ゞ。そんなことしちゃ、この毒が消えてしまったんじゃないだろうか。



HEXX / Under the Spell / 1986

このへんのアメリカのメタルはどれも似たような印象があるのだが、実はこの作品はアグレッシヴなパワーとメロディアスな面の融合が見事に成功している点でトップクラスの出来だ。出だしからリードギターが弾きまくるという展開は聞き手を自分達の世界にずるずると引き込むだけの力を十分に持っている。とにかく巧い。これぞ正統派、理屈抜きで聞くべし。

クサレポイント

ずっと活動は続けていたけど1990年代になってバンドは解散したようだ。で、ギタリストとベーシストは今ではヒルビリー(カントリー系のロック)のバンドで活躍中だから驚き。



VENDETTA / Go And Live ... Stay And Die / 1987

二人のギタリストがボーカルを分け合うという変則スタイルだが、どちらが歌っても同じ声なのであまり関係ない。これまたレコード盤から汗が飛んできそうなスラッシュメタル。この時代はこのスタイルが大流行だったもんなぁ。線の細さが気になるがギターもかなり頑張って独創性の高いソロを聞かせてくれる。及第点以上だが、このテのバンドはたくさんいたから結局シーンに埋もれてしまったんだろう。

クサレポイント

このジャケも魅力的だ(^^ゞ 「タ〜クシ〜!」ではなくて、ガケから落ちていくところだったのねぇ。